青島国際モーターショー2025にみる中国自動車市場の変容
(中国)
青島発
2025年05月16日
「2025第24回青島国際自動車工業展示会(青島国際モーターショー)」が5月14日、中国・山東省青島市嶗山区の青島国際会展中心で開幕した(会期は5月19日まで)。青島国際モーターショーは2002年の第1回から23年間連続で開催されており、屋内の展示面積は6万平方メートルとなっている。同モーターショーには、広汽トヨタやレクサス、長安マツダ、東風ホンダ、一汽トヨタ、東風日産、広汽ホンダ、インフィニティといった日系ブランドのほか、米国系、ドイツ系、フランス系、イタリア系ブランドを含む約90の国内外ブランドが出展した。
山東省自動車行業協会の譚秀卿副会長兼秘書長は、中国自動車市場のトレンドについて「2018年までは合弁ブランド車が市場シェアの大部分を占めていたが、その後、開発力や技術力、管理力を身につけた中国企業が生産した中国ブランド車が市場シェアを拡大している。2025年1~4月期の中国ブランド車の市場シェアは前年同期比8.1ポイント上昇して68.7%となり、4月単月では70.7%を占めるに至った。特に、中国ブランド車メーカーが主に展開しているEV(電気自動車)などの新エネルギー車は中央政府の自動車購入税減免措置もあり、シェアの拡大傾向が顕著だ。そのため、中国市場から撤退する外資系企業も現れている。山東省は、商用車の主要な生産基地であり、大型トラックと軽トラックの生産量はともに全国トップクラスに位置し、同省の自動車販売を牽引している」と述べた(取材日:5月14日)。
日系ブランド車のブースアテンダントは、日系ブランド車の強みとして長持ちすることなどの品質の高さを挙げ、「2~3年で買い替えるなら、中国ブランド車の方が比較的安価だ。今はやりの中国ブランドのEVは複数の外国メーカーの技術を組み合わせているが、近年売り上げを伸ばし始めたので、各技術の相性はまだ十分に検証されていない」と強調した。他方、日系ブランド車の弱みとしては、デジタルパネルの画面が中国ブランド車よりも小さいなど、車内アクセサリーが中国ブランド車より見劣りすることを挙げた(取材日:5月14日)。なお、ハイブリッド車はガソリンが主動力源であるのに対して、プラグインハイブリッド車(PHEV)は電気が主動力源であるため、新エネ車への税制優遇が適用される(注)。
山東省には、日系ブランド車の組立工場はないものの、日系自動車部品メーカーは展開している。今後の合弁ブランド車の復調に期待したい。
青島国際モーターショー2025の展示会場の様子(ジェトロ撮影)
新型EV bZ3を展示する一汽トヨタブース(ジェトロ撮影)
買い替え補助金額などを掲げる広汽ホンダブース(ジェトロ撮影)
(注)買い替え補助金と自動車購入税は、値下げ後の販売価格を基準に適用される。例えば、一汽トヨタのグランビアがそれぞれ6,000元(約12万円、1元=約20円)と2万7,257元、広汽トヨタのシエナがそれぞれ7,000元と2万7,858元、BYDの2024年型騰勢(Denza)D9DM-iが6,000元と0元、2025年型騰勢D9DM-iが6,000元と3,964元となっている(5月12日時点。青島市内販売店にてジェトロ調べ)。
(皆川幸夫)
(中国)
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