ブラジルの4月物価、前月比0.43%上昇、食品値上がり止まらず
(ブラジル)
調査部米州課
2025年05月20日
ブラジル地理統計院(IBGE)は5月9日、同国の代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)について、4月の上昇率を前月比0.43%と発表した(添付資料表参照)。3月の上昇率(0.56)と比較すると鈍化したものの、1~4月累計では2.48%、直近12カ月の上昇率は5.53%に達した。中央銀行が設定する2025年のインフレ目標値(上限4.5%)を7カ月連続で上回った。
費目別でみると、交通・運輸(マイナス0.38%)以外の8項目が上昇した。中でも保健・個人衛生品(1.18%)や飲食料品(0.82%)の上昇率が高かった。寄与度でみると、飲食料品(0.18ポイント)が最も高い。飲食料品では、ポテト(18.29%増)、トマト(14.32%増)、主要輸出品のコーヒー(4.48%増)が大きく上昇した。
IBGEのフェルナンド・ゴンサルベス物価指数アナリストは「飲食料品の寄与度は0.18ポイントと(費目別の9項目の中で)最も高い。飲食料品の上昇率は3月(1.17%)と比較して鈍化しているものの、物価上昇に与える影響が大きい」と述べた。
コーヒーの上昇要因について、ブラジル南部パラナ州の経済団体フェコメルシオで経済アナリストを務めるルーカス・デゾルディ氏は「コーヒーは過去数カ月をみても上昇している。世界的なコーヒーの供給国のベトナムなどでの干ばつの影響によって、世界的に収穫量が減少する一方、ブラジル国内外で需要が高まっている。ブラジル産コーヒーの需要も拡大している」と分析する(5月14日付現地紙「ベン・パラナ」)。パラナ州はサンパウロ州やミナスジェライス州と並ぶコーヒーの産地で、主にロブスタ種を栽培している。
5月9日付現地経済誌「エザーメ」によると、トマトの上昇要因は生産量の減少によるもの。2024年以降、トマトの生産コストが上昇し、生産者が生産を控えたことで結果的に供給が滞り、価格上昇につながった。サンパウロ大学の応用経済研究所のジョアン・パウロ・ベルナルデス研究員によると、トマトが収穫期を迎える6月以降は価格が平常化するとみられる。
(辻本希世)
(ブラジル)
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