ドイツ中小企業の人員減少傾向が継続
(ドイツ)
ミュンヘン発
2025年05月07日
企業信用調査会社クレジットリフォーム(Creditreform)が4月24日に発表したドイツ・ミッテルシュタント(注)の春季経済状況アンケート調査で、ミッテルシュタント(中小企業)における人員減少の傾向が継続していることが明らかになった。アンケート調査は2025年3月に実施、ドイツ国内の約1,200社のミッテルシュタントが回答した。
調査結果によると、人員が「拡大した」と回答した企業の比率から「減少した」と回答した比率を引いた数値はマイナス5.4となり、2024年春季アンケートのマイナス0.5から悪化、2年連続でマイナスの値となった。「人員が減少した」と回答した企業は20.2%で、1年前の18.5%から増えた。減少傾向の要因として、クレジットリフォームは(1)ドイツでの景気後退、(2)少子高齢化による人手不足、(3)公共セクターでの雇用増などを挙げた。調査結果では、サービス業以外の全ての業種区分で人員の減少傾向が示された。特に製造業と建設業で人員が減少し、製造業の27.6%(2024年春季調査時点:23.2%)、建設業の24.8%(同24.0%)の企業が「人員が減少した」と回答した。なお、全体で「人員が拡大した」と回答した企業は14.8%となり、1年前に比べて3.2ポイント下がった。サービス業での人員拡大は19.4%(2024年春季調査時点:21.5%)となり、業種別で最多だった。
今後半年間の人員計画については、回答企業の11.7%は「人員削減を計画している」とし、世界的な金融危機があった2009年(17.2%)以降では最大値となる。2024年の春季調査時点では10.2%だった。クレジットリフォームは、ミッテルシュタントの人員計画は通常の季節変動を反映しているが、企業が先行きを楽観視していないことも示していると指摘した。「人員拡大を計画している」と回答した企業は17.7%で、1年前の22.8%から減少した。
(注)ドイツ語の「ミッテルシュタント(Mittelstand)」は、一般的には「中小企業」と和訳されるが、EUの中小企業の定義に当てはまらない家族経営企業や従業委員数250人以上500人未満の企業も含めた、ドイツ語圏の企業特色を示す言葉でもある。ミッテルシュタントの詳細はジェトロ調査レポート「ドイツにおける中小企業政策とケーススタディ」(2021年3月)参照。
(クラウディア・トーディ、鷲澤純)
(ドイツ)
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