世界初の大規模商業用e-メタノール工場がデンマークで稼働
(デンマーク、日本、ドイツ)
デュッセルドルフ発
2025年05月26日
デンマークの再生可能エネルギー(再エネ)大手のヨーロピアン・エナジーは5月13日、デンマーク南部オーベンローのカッソにおいて世界初となる大規模な商業用e-メタノール製造工場を稼働した。
同工場は、ヨーロピアン・エナジー傘下のカッソ・ミドコ(Kasso MidCo)の100%子会社ソーラーパーク・カッソが所有しており、カッソ・ミドコにはヨーロピアン・エナジーが51%、三井物産が49%を出資している。生産されたe-メタノールは海運世界大手のA.P.モラー・マースク、製薬大手のノボ・ノルディスク、玩具大手のレゴ・グループ、といったデンマークの大手企業に供給される。
年間生産能力は約4万2,000トンで、バイオマス由来のグリーン二酸化炭素(CO2)と、隣接する太陽光発電所を活用して敷地内で製造するグリーン水素を合成して製造されるe-メタノールは、化石燃料を原料とした従来のメタノールと比べてCO2排出量を最大97%削減できるとする。また、水を水素と酸素に分解する電解装置はドイツの大手テクノロジー企業シーメンスが納入したものだ。
ヨーロピアン・エナジーのクヌード=エリック・アンデルセン最高経営責任者(CEO)は「本プロジェクトはパワー・トゥー・エックス(Power-to-X)技術(注)の実用化に向けた大きな一歩だ」と述べた。また、三井物産は、同社中期経営計画2026において「Global Energy Transition」をキーワードとした次世代燃料バリューチェーン構築を目指しており、デンマークでの本事業もその一環としている。
なお、デンマークにおける環境エネルギー分野での日本企業の動向については2024年11月14日付地域・分析レポートも参照のこと。
(注)電気を使って水素、メタノールなどのグリーンな燃料を製造し、より持続可能なエネルギーを実現する技術のこと。
(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)
(デンマーク、日本、ドイツ)
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