第137回広州交易会が開催、企業は販路多角化を探る

(中国)

広州発

2025年05月12日

中国商務部と広東省政府が主催する中国最大規模の貿易見本市「第137回中国進出口商品交易会(広州交易会)」が415日から55日にかけて、同省広州市で開催された。展示会は展示内容によって3期に分かれ、オフラインとオンラインのハイブリット形式で行われた。

1期(41519日)は「先進的な製造業(先進製造)」をテーマとし、「新御三家」(1)やデジタル技術などに関連する企業が出展し、「サービスロボット」の専門エリアが増設された。第2期(42327日)は「上質な住まい(品質家居)」をテーマとして、家庭装飾品やギフト、家具など、第3期(515日)は「より良い生活(美好生活)」をテーマに、アパレル、オフィス用品、医薬品・医療機械、食品、ペット用品などが展示された。さらに、「首発経済」(注2)をはじめ、「低炭素」「スマート化」「人工知能(AI)」「シルバー経済」など、中国のトレンドを反映した新製品発表会が開催された。

今回の展示面積は155万平方メートルに及び、3万社以上の企業が出展した。主催者によると、54日までの海外バイヤーの来場者数は前年同期比(第135回)17.3%増の288,938人(219カ国・地域)、会場での輸出成約見込み額は前年同期比3.0%増の2544,000万ドルとなった。

広州交易会は従来、海外から訪れるバイヤーが中国産製品を買い付けるための輸出展だったが、第101回広州交易会から輸入品エリアも設置している(注3)。50カ国・地域の計736社が出展した今回の輸入品エリアには、ジャパンパビリオン(注4)が設けられ、出展した日本企業は「中国以外の海外バイヤーと会うことができるため、2024年から出展しており、来年も出展を継続する予定」「広州交易会はASEAN諸国や南米のバイヤーが多い。日本からも近いため、ASEAN諸国や南米に直接赴くよりも費用を抑えられ、効率が良い」と話した。

米国の関税措置の影響を受ける中、国家税務総局広州市税務局は広州交易会に向けて、輸出税還付(注5)の迅速化や、外国人観光客向けの増値税還付制度「即時還付」サービスの対象店舗拡大を含む支援策(「第137回広州交易会に向けた税収措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」)を打ち出すなどして輸出を支援している(2025年4月16日記事参照)。第2期に出展した中国企業はライトスタンドを米国に輸出しているが、米国関連業務の一時停止や注文の減少などの影響がある一方で、145%の関税(注6)を受け入れる顧客もいると話した。ギフト関連の複数の中国企業からは、出荷先が米国だけでなく欧州などに分散しているため、そこまで影響は大きくないとのコメントが比較的多く聞かれた。また、ある中国企業は「関税対策として、欧州や南米、東南アジア、アフリカなどへの販路開拓や新製品の開発を検討している」と述べた。

写真 第137回広州交易会の第2期の様子(ジェトロ撮影)

第137回広州交易会の第2期の様子(ジェトロ撮影)

写真 輸入品エリアでのジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

輸入品エリアでのジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

写真 来場者でにぎわうジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

来場者でにぎわうジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

(注1)中国の輸出を牽引する「新御三家」。具体的にはリチウムイオン電池、電気自動車(EV)、太陽電池を指す。なお「老三様(旧御三家)」は衣類、家電、家具を指す。

(注2)新製品、新業態、新モデル、新サービス、新技術の発表や初店舗の開設など、企業が行う経済活動の総称。製品やサービスの初公開から店舗の初出展、開発センターの新規設立、企業本部の新規設立までの全過程を含む。

(注3)「進口展(輸入品エリア)」の増設とともに、広州交易会の正式名称は「中国出口(輸出)商品交易会」から「中国進出口(輸出入)商品交易会」に変更された。

(注4)ビジネスガイド社主催によるもの。

(注5)輸出を行う貿易会社などの⾮⽣産企業に対し、輸出売り上げに対しては増値税を免除し、さらに、その輸出商品を仕入れたときに⽀払った増値税額を還付する制度。

(注6)トランプ米政権は2025年2月以降、中国原産品に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく対中追加関税(合計145%)などを賦課している。

(陳昕、周祖恵)

(中国)

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