中国BYD、ハンガリーに欧州統括本部・研究開発拠点を設立
(ハンガリー、中国)
ブダペスト発
2025年05月20日
中国の大手電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)は、ハンガリーの首都ブダペストに、欧州統括本部と研究開発拠点を設立することを発表した。この発表は5月15日、ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相とBYDの王伝福会長兼最高経営責任者(CEO)らによる共同記者会見で行われた。
総投資額は約1,000億フォリント〔約400億円、1フォリント=約0.4円(5月16日ハンガリー国立銀行為替レート)〕で、ハンガリー政府は200億フォリントの支援を提供する。
BYDの王会長は「BYDの欧州統括本部をハンガリーに設置することは、当社の発展の重要な一歩であるだけでなく、『一帯一路』の枠組みの中で、中国とハンガリーの実質的な協力の具体的な証明でもある」と強調した。オルバーン首相は「ハンガリーは『一帯一路』イニシアチブに参加し、他の欧州諸国とは異なり、離脱することはなかった」と回顧するとともに、ハンガリーは常に対中関税に反対してきたと述べ、相互尊重による経済協力への回帰を呼びかけた。
新施設は工科大学も所在するブダペストの第11地区(技術・イノベーション中心地)に設置され、約2,000人の新規雇用を創出する。この雇用の90%は主にエンジニアリング分野の高等教育を受けた人たちが占める予定だ。
ブダペストの拠点は、BYDの欧州での販売や欧州市場のニーズに合わせたモデル設計を含む、同社欧州事業の重要分野で主導的役割を果たすことになる。
研究開発拠点は、インテリジェントな運転技術の統合と、次世代電動化技術の開発に焦点を当てる。BYDはハンガリーの大学やスタートアップ企業、サプライヤーと連携することで、2つの大型の研究開発プロジェクトを立ち上げる。1つは人工知能(AI)による自動運転システムを開発すること、もう1つはEVのパワートレインの性能とエネルギー効率を向上させることだ。合計約2億5,000万ユーロに相当するこれらのプロジェクトには、少なくともハンガリーの3つの大学が参加する計画だ。
オルバーン首相は、BYDがハンガリーに研究開発拠点を設置することは、外国投資家が製造だけでなく、研究開発能力もハンガリーに確立するという政府の目標と一致し、ハンガリーは世界の自動車産業の変革に追随するだけでなく、その最前線に立っていると強調した。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー、中国)
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