タイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)、2025年GDP見通しを下方修正

(タイ、米国)

バンコク発

2025年05月14日

タイの主要経済3団体で組織するタイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)は5月7日、経済情勢に関する会合を開催した。この会合で、米国の相互関税の影響を受け、2025年のGDP見通しを2.0~2.2%に下方修正した(前月時点の見通しは2.4~2.9%)。

第2四半期(4~6月)から2025年後半まで米国の10%の一律関税が課された場合、タイの通年の輸出成長率は0.3~0.9%(前月時点の見通しは1.5~2.5%)、インフレ率は0.5~1.0%(同0.8~1.2%)となる見込みで、前回予測から下方修正となる。これにより、2025年のGDP成長率が2.0~2.2%にとどまると見込みだ。

加えて、36%の追加関税が上乗せされた場合、輸出成長率はマイナス2%となり、2025年のGDP見通しが0.7~1.4%に下方修正される可能性がある。今後10年間でタイの対米輸出額が約1兆4,000億バーツ(約6兆1,600億円、1バーツ=約4.4円)が失われ、約370万人の労働者と約5,000社の中小企業に影響を及ぼすと見込んでいる。

同委員会は政府に対し、米国との交渉の迅速化や、セーフガード措置など、米国の相互関税による貿易転換への対策を求めた。また、タイ工業連盟(FTI)のクリアンクライ・ティアンヌクン会長は、民間部門として、短期・中期・長期の経済刺激策を実施していくことを提案した(5月7日「クルンテープ・トゥラキット」紙)。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ、米国)

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