OPECプラス加盟8カ国、6月は日量41万1,000バレル増産を決定
(中東、サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)
調査部中東アフリカ課
2025年05月19日
OPECプラス(注)に加盟しているサウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーンの8カ国は5月3日、自主的追加減産の段階的廃止を4月1日から行っていること(2025年3月10日記事参照)に関して、6月の生産量を5月の要求生産水準から日量41万1,000バレル増加することを決定した。
今回発表を行った8カ国は2023年11月から合計日量220万バレルの自主的追加減産を行っていたが、2024年12月の会合でこの減産を2025年4月から2026年9月末にかけて段階的に廃止することで合意していた(2024年12月9日記事参照)。さらに、2025年4月の会合で5月の増産幅を当初予定の約3倍の日量41万1,000バレルとすることを決定しており(2025年4月8日記事参照)、今回の決定により、2カ月連続で生産量引き上げを行うこととなる。8カ国の自主的追加減産の段階的廃止による6月の増産幅は合計で日量14万バレルであり、今回決定した増産量はその約3倍に当たる。
原油価格は、8カ国の自主的追加減産の段階的廃止が開始した4月初旬から大幅な下落傾向にある。米国エネルギー情報局(EIA)の統計によると、米WTIは4月30日に1バレル59.55ドルを記録し、50ドル台まで落ち込むのは2021年4月以降、4年ぶりとなった。5月12日時点では米WTIは1バレル当たり63.32ドル、北海ブレントが65.28ドルとなっている(添付資料図参照)。
今回増産を発表したOPECプラス加盟8カ国は、市場の状況や生産量の遵守状況などについて検討を行うために、毎月会合を開催するとしている。次回会合は6月1日に開催し、7月の生産量について決定する予定だ。また、OPECプラスによる第39回閣僚級会合は5月28日に開催予定。
(注)OPEC加盟国のイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、赤道ギニア、コンゴ共和国の12カ国と、非加盟の産油国のアゼルバイジャン、バーレーン、ブラジル、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダンの11カ国で構成する。
(久保田夏帆)
(中東、サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)
ビジネス短信 91e5acab3cdbfabc