遼寧省、瀋陽~大連高速道路を走行する水素トラックの通行料を無料化

(中国)

大連発

2025年05月21日

中国・遼寧省の交通運輸庁と発展改革委員会は5月14日、「遼寧省高速道路の差別化料金および水素トラック通行料金無料化の実施プラン」を公布、16日から施行した。これにより、水素燃料電池を搭載するトラックが「瀋陽~大連高速道路(区間距離約360キロメートル)」を走行する際には通行料金を免除される。同政策の適用期間は3年間。なお、中国ではこれまでに、吉林省、四川省などの省で水素燃料車両の高速道路通行料金減免措置を導入している(2024年4月25日記事8月28日記事参照)。

遼寧省では現状、ディーゼル車両による陸上輸送量が多い一方、副生水素資源が豊富で、再生可能エネルギー由来のグリーン水素製造プロジェクトが進行していることなどを背景に、2024年2月に「瀋陽~大連水素高速道路」の構想が打ち出された。2025年1月からは「遼寧省の経済社会各分野における安定成長促進と民生改善政策措置」により、2025年12月31日までに竣工(しゅんこう)する、500キログラム以上の水素を充填(じゅうてん)できる新設や併設の水素ステーションに対して、1基あたり100万元(約2,000万円、1元=約20円)の補助金を支給することとなっている。遼寧省はこれら水素エネルギー産業サプライチェーン構築への支援により、水素車両の普及、物流業の脱炭素化の促進、年間10万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減などを進め、水素社会の実現を図っている。

中国自動車戦略・政策研究センターによると、国家燃料電池車両活用支援弁公室は、モデル都市群(注)や重点地域における計15路線、総延長1万3,000キロメートル以上の高速道路で「水素車両万里行」という水素車両普及のプロモーション活動を展開しており、瀋陽~大連高速道路も対象となっている。

今後、「瀋陽~大連高速道路」の水素インフラ整備は「北東アジア水素燃料供給基地」(2025年1月7日記事参照)を目指す大連市長興島のグリーンエネルギーの生産、物流と連携することで、遼寧省における水素エネルギーの利活用をさらに進展させ、地域経済の活性化や社会の脱炭素化をさらに加速するものと期待される。

(注)遼寧省大連市は、2025年2月に中国東北地域として初めて水素エネルギー工業団地を設置したほか、4月には東北地域初の国家水素燃料電池車両モデル都市に選定された(2025年4月11日記事参照)。

(李莉)

(中国)

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