米下院歳入委、「大きく美しい1つの法案」の個人向け減税条文案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年05月14日

米国連邦議会下院の歳入委員会は5月12日、減税や歳出削減、債務上限引き上げなどをまとめた、いわゆる「大きく美しい1つの法案」と呼ばれる法案のうち、税制に係る部分の条文案を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。条文案には、個人向け減税や企業向け減税のほか、インフレ削減法(IRA)の下で設立されたエネルギーなどに関連する税額控除の見直し、不法移民への税額控除の不許可、債務上限を4兆ドル引き上げなどが盛り込まれている。なお、税制以外の条文案については、4月に採択された予算決議に沿って、委員会ごとに歳出削減などに係る部分の条文案を発表している。

今回発表された減税部分の条文案のうち、個人に裨益(ひえき)する主な措置は次のとおり。

(1)米国の家庭と労働者への増税を恒久的に防止する

2025年末に期限切れとなる所得税減税や児童扶養税額控除の増額を恒久化するなどの措置を実施。児童扶養税額控除に関しては、2025~2028年の間、時限的に控除額を2,500ドルに増額(現行2,000ドル)する。相続税は非課税枠を引き上げる。

(2)米国の家庭と労働者のための追加減税

  • チップ課税免除:2025~2028年の間、就労資格のある社会保障番号を有する者であることや、高額所得者でないことなどを前提として、チップへの課税を免除。
  • 残業代課税免除:2025~2028年の間、就労資格のある社会保障番号を有する者であることや、一定の所得を超える高報酬の労働者でないことなどを前提として、残業代への課税を免除。
  • 高齢者控除の強化:2025~2028年の間、65歳以上の高齢者に対し、調整後の所得が7万5,000ドル(単身世帯の場合)を超えない場合、申告者1人につき4,000ドルを控除。
  • 自動車ローンの利子控除:2025~2028年の間、対象となる「適格乗用車」に対するローン利子に関し、最高1万ドルを控除。
  • 雇用者が提供する保育への税額控除の強化:企業が従業員に提供する保育費用の最大40%(現行法では25%が上限)に対し、年間50万ドルを上限(現行法では15万ドルが上限)に税額を控除。
  • 有給の家族・医療休暇への税額控除の拡大・強化:現行法上の税額控除の仕組みを恒久化するとともに、家族・医療休暇保険の保険料の一部も税額控除できるようにする。また、対象となる従業員の最低就労期間を1年から6カ月に引き下げ。

(加藤翔一)

(米国)

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