インドの乗用車販売台数、4月の過去最高を更新

(インド)

ベンガルール発

2025年05月23日

インド自動車工業会(SIAM)は5月15日、4月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕の国内販売台数は、前年同月比5.5%増の30万3,648台で、4月の販売台数としては過去最高を更新した(添付資料表1参照)。UVは前年同月比12.1%増で、同5.4%減の一般乗用車と同5.2%減のバンのマイナスをカバーした。なお、表1の数字には含まれていないが、地場タタ・モーターズの乗用車販売台数(4万5,199台)を含めると、34万8,847台に上る(注1)。一方、タタを除く自動車販売全体(乗用車、二輪車、三輪車)では、二輪車の前年同月比16.7%減が影響して、13.3%減の181万1,876台だった。

二輪車販売台数の大幅な落ち込みの背景として、SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は「4月以降、二輪車と三輪車を対象に、車載式故障診断装置(OBD)2規制の第21段階(注2)に移行した」ことを指摘し、そのため、当該車両が値上がりしたことが買い控えにつながった。

メーカー別乗用車販売では、首位のマルチ・スズキが前年同月比0.5%増の13万8,704台と横ばい、続くマヒンドラ&マヒンドラは27.6%増の5万2,330台で2位に浮上した(添付資料表2参照)。現代は販売台数が落ち込み、11.6%減の4万4,374台だった。一方、トヨタ・キルロスカは同32.7%増の2万4,789台と引き続き好調だった。また、他の日系メーカーでは、ホンダは同22.8%減の3,360台、日産が24.1%減の1,825台と不調が続く。なお、統計に含まれていないタタ・モーターズは、電気自動車(EV)を含めて同5.6%減の4万5,199台で、3位相当だった(同社発表)。

二輪車販売は前年同月比16.7%減の145万8,784台だった(添付資料表1、表3参照)。特にオートバイの落ち込みが顕著で、同22.7%減の87万1,666台、スクーターは同5.7%減の54万8,370台、モペットは同7.6%減の3万8,748台と、いずれのセクターも前月の好調から一気にマイナスに転じた。メーカー別にみると、首位のホンダが同12.1%減の42万2,931台、2位のTVSモーターが同7.4%増の32万3,647台と、いずれも前月首位だったヒーローを追い抜いた。3位に落ち込んだヒーローは同43.8%減の28万8,524台だったが、定期保守点検のために4工場を3日間にわたって生産停止したことに起因する一時的な減少とみられる。スズキは引き続き5位で、同8.1%増の9万5,214台、ヤマハは7位で、同25.8%減の4万6,826台だった。

(注1)タタ・モーターズの販売台数は単月の乗用車販売台数のみ公開。自動車販売台数全体とセグメント別、メーカー別、車種別、二輪車、三輪車統計には含まれない。

(注2)2016年2月から施行された自動車排出ガス規制「バーラト・ステージVI(BS-VI)」の中で導入された。車載式診断装置は段階的に導入され、第1段階として2020年4月1日以降に製造される全ての車両には予備的なOBD基準値が適応され、第2段階として2023年4月1日以降は全ての車両に最終的なOBD基準値が課された。主要各社は順次、OBD基準対応にアップグレードした2輪モデルを市場に投入しており、非対応車に比較して値上がりしている。

(大野真奈)

(インド)

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