ガーナ、現地通貨セディが対ドルで一時29.5%上昇を記録

(ガーナ)

アクラ発

2025年05月27日

ガーナ中央銀行が発表する現地通貨ガーナ・セディ(GHS)とドルのレートは4月2日時点で1ドル=15.53GHSだったが、5月23日には10.95GHSを記録し、29.5%のセディ高となっている。2024年の対ドルレートは年始から年末までの1年間で23.7%のセディ安となっていたため、短期的に急激なセディ高が進んでいる。

セディ高に転じた理由として、輸出による外貨獲得の増加が挙げられる。ガーナゴールドボード(Ghana Gold Board)によると、主要輸出産品である金の2025年4月の輸出額は8億9,760万ドルで、2025年1月から4月までの金輸出額は27億ドルを超え、すでに2023年通年の21億9,000万ドルを上回っている。もう1つの主要輸出産品であるカカオも高値となっており、外貨獲得に貢献した。

その他の理由としては、ガーナ政府が現在実行中の債務再編プログラムにおける対外債務返済が一時停止され、5月に予定されていた債務返済が7月になったため、2025年4月に4億9,000万ドルの外貨供給を含む市場介入がなされたことが要因、と現地メディアは報じている。

ガーナ統計局の発表によると、2025年4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比21.2%だった。2024年12月の23.8%以降、5カ月連続でインフレ率が緩和したことになるが、前月比では0.8%増となり2025年2月から3月にかけての0.2%増からは上昇となった。

食品およびアルコールを除く飲料(Food and Non-alcoholic beverages)の上昇率は前年同月比25.0%、非食品(Non-food)の上昇率は17.9%となった。ガーナ中央銀行はセディ高が進んでいるもののインフレ率は依然高いとして、慎重な姿勢を取り、政策金利を28%で維持した。

セディ高は一時的で、国民生活への影響は小さいとの見方もあるが、今後も引き続き注視する必要がある。

(中川翼)

(ガーナ)

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