バイエルン州商工会議所の調査、米国関税政策を受け、対中ビジネス増を想定する企業が増加

(ドイツ)

ミュンヘン発

2025年05月08日

ドイツのバイエルン州商工会議所は、米国のドナルド・トランプ大統領就任から100日を経たことを受けて、州内の会員企業に対して米国政府の政策に関するアンケート調査を実施し、5月2日にその結果を発表した(プレスリリース、ドイツ語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アンケート調査には、バイエルン州の約900社が回答した。

調査によると、回答企業の3分の2が米国政府による関税政策や貿易障壁は自社にとってリスクであると回答した。また、約60%が米国の政策が世界の他の地域の市場にも悪影響を及ぼす、50%強は金融市場の安定性を危惧すると回答した。世界の超大国としての米国と中国との比較に関する問いでは、中国と長期的により良いビジネス関係または現在のビジネス関係維持を想定すると回答した企業は、2024年の米国大統領選挙前は約40%だったが、今回のアンケートではほぼ3分の2に達した。他方で、米国との関係については同様の回答は全体の4分の1に過ぎなかった。

米国政府の政策を受け、どの国外市場とのビジネス強化に関心があるかとの問いでは、回答企業の4分の3弱がユーロ圏、40%強がユーロ圏以外の欧州、4分の1弱がアジア大洋州とした。バイエルン州商工会議所は、EU政策について、EU域内市場においては特にサービスや資本市場のビジネス障壁の撤廃、EU域外市場については企業の新規市場開拓を現実的かつ強力に支援するEU貿易政策などが必要、と主張した。

対米ビジネスを行う企業は、既存のビジネス関係を維持するとしており、米国ビジネス戦略を変えない意向の企業は半数以上、ビジネスを減らすと回答した企業は12%のみだった。他方で、関係を深めると回答した企業は5%にとどまった。

(鷲澤純)

(ドイツ)

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