衰えぬ日本食への関心、モスクワでのすし職人コンテストの主催者に聞く

(ロシア)

調査部欧州課

2025年05月27日

ロシアのモスクワで行われた食品見本市「フード・エクスポ」の枠内で、国内のすし職人が技術や知識を競うコンテスト「スシカップ」が3月18日に開催された。見本市はすでに10年以上の歴史があるが、すし職人大会が開かれたのは今回が初めて。主催したドイツ小売り大手のメトロ・キャッシュ・アンド・キャリー・ロシア法人(以下、メトロ)の担当者のマルガリータ・ティシキナ氏に開催の目的などを聞いた(5月21日)。

(問)スシカップの概要は。

(答)ロシア国内の各都市から80人の応募があり、事前のオンラインテストに合格した24人が大会に臨んだ。優勝者には、9月に日本で5日間の研修を受ける機会が与えられた。料理学校での研修費用のほか、日本への渡航費、現地滞在費はすべてメトロが負担する。

(問)小売業のメトロがなぜ料理コンテストを主催するのか。

(答)ロシアのHoReCa(ホテル・レストラン・カフェ・ケータリング)分野の発展のためだ。イベントを通じて外食産業が勢いづき、高度化すれば、プロ向けの食材の販売に注力する自社ビジネスにいつか返ってくる。いわば未来への投資である。メトロは2021年に、モスクワ市の支援を受けて市内に料理アカデミー「STANFOOD」を設立した。シェフやパン職人、パティシエの育成にも取り組んでいるところだ。

(問)昔からすしの人気が高い中で、なぜこのタイミングでコンテストを開催することにしたのか。

(答)ロシアでアジア料理が大きなトレンドとなっているためというのが理由の1つ。メトロはまだアジア食材のラインアップが少なく、この分野で事業を拡大していきたい。また、複数の高級日本食レストランが新規オープンするなど、消費者の間で日本食に対する関心は相変わらず高い。にもかかわらず、現状、すし職人を対象にしたコンテストはほとんどなく、空白を埋めたいと考えた。コンテストの開催を通じて、日本食や日本文化をプロモーションするノウハウを得、日本食料理人のコミュニティーを創ることができた。

写真 優勝者が持つボードには「日本行きの証明書」と書かれている。左から4番目がインタビューに応じた1人のティシキナ氏(主催者提供)

優勝者が持つボードには「日本行きの証明書」と書かれている。左から4番目がインタビューに応じた1人のティシキナ氏(主催者提供)

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