第1四半期のGDP成長率、前年同期比3.9%、個人消費が堅調
(ペルー)
リマ発
2025年05月29日
ペルー国家統計情報庁(INEI)は5月23日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を発表した。好調な内需により、前年同期比で3.9%増となっており、2023年のマイナス成長(マイナス0.6%)から回復が続いている。(添付資料表参照)。
産業別にみると、水産業が25.3%増で最も大きな伸びを示した。2024年はエルニーニョ現象の発生によって大きな打撃を受けたが、回復基調にある。次いで運輸・倉庫・郵便が7.4%増となっている。ペルー経済の先行指標となる建設(注1)が5.3%増で続く。需要項目別にみると、個人消費が3.8%増、輸出が14.2%増となっている。
ペルー中央銀行によると、企業経営者による今後12カ月の景気期待指数は、2025年4月に57.90だった。2025年は総選挙の前年だが、前回総選挙の前年の2020年4月の同指数30.45と比べて、高い結果となった。ペルーのマクロ経済が底堅いことや、2024年後半から個人消費が上向きつつあること、米国の関税政策のうちペルーが影響を受けるのは一律関税の10%が主で影響が限定的(注2)と考えられていることなどから、2026年に選挙が予定されているにもかかわらず、経営者は景況感を前向きに捉えているとみられる。
ラウル・ペレス・レジェス経済財政相は5月26日の会見で、「ペルー経済の目標は2025年通年で実質GDP成長率3.5%の達成で、その実現のため公共投資を計画的に進める」との方針を示した(「ヘスティオン」紙5月27日)。
(注1)住宅建築を含む建設セクターが好調だと、個人消費が強固と判断されるため、ペルーのエコノミストや有識者は、建設関係の数値を経済の行方を見極める材料として重視している。その他、住宅の受注量やセメント製造量も先行指標と捉えられている。
(注2)米国の1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品、自動車・同部品に対する追加関税もあるが、両品目はペルーの主要対米輸出品目ではないため、同措置の影響は限定的と考えられる。なお、ペルーの主要輸出品の銅や重要鉱物に対する232条調査が開始されている(2025年3月14日記事、2025年4月16日記事参照)
(石田達也)
(ペルー)
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