EUの森林破壊防止デューディリジェンス規則、ラオスを「低リスク国」と評価

(ラオス、EU)

ビエンチャン発

2025年05月30日

欧州委員会は5月22日、「森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則(EUDR:EU Deforestation Regulation)(2024年3月27日記事参照2025年4月17日記事参照)」の世界各国のリスク分類外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、ラオスを「低リスク国」に分類した。

EUDRはEU市場の環境規制で、企業に対して森林破壊や森林劣化に関連する製品をサプライチェーンから一掃するため、デューディリジェンスと厳格なトレーサビリティの義務を課すもの。原則として、(1)原産地の地理情報などの情報収集、(2)リスク評価、(3)リスク緩和措置が必要だ。森林破壊や劣化に関与しない製品のみをEU市場に輸入・販売、またはEU市場から輸出させることを目的としている。同規則は、大・中規模企業は2025年12月30日から、小規模・零細企業は2026年6月30日から適用される。

対象は、EU域内および域外で生産される7品目(牛、カカオ、コーヒー、アブラヤシ、ゴム、大豆、木材)とその派生品(牛肉、チョコレート、コーヒー製品、パーム油、タイヤ、木製家具、印刷紙など)。事業者は、(1)森林減少フリー製品(注1)であること、(2)生産国の関連法規(環境保全、土地利用、労働など)に従って生産されていること、(3)これらを証明するデューディリジェンス宣誓書を作成して提出することが求められる。

ラオスからEU域内へのEUDR対象商品の輸入は、依然としてEUDR要件の対象となるものの、「標準リスク国」または「高リスク国」からの輸入に比べ、デューディリジェンス義務の簡易化(注2)やEU加盟国の管轄官庁によるチェックの軽減がされる(注3)。

本規則の導入により、質の高いラオス産コーヒーや天然ゴム、木材製品などのEUへの輸出が増加することが期待されている。

なお、ASEANでは、ラオスとともにタイやベトナム、フィリピン、ブルネイ、シンガポールが「低リスク国」、カンボジア、インドネシア、マレーシアは「標準リスク国」、ミャンマーは「高リスク国」に分類された。なお、日本も「低リスク国」に分類された。次回の見直しは2026年を予定している。

(注1)2020年12月31日以降に森林減少または森林劣化されていない土地で生産されたもの。

(注2)「低リスク国」からの調達は、事業者および貿易業者はデューディリジェンス義務が簡易化される。つまり、デューディリジェンスのための情報収集は必要だが、リスクの評価や緩和措置は免除される。

(注3)EU加盟国の管轄官庁によるチェックの最低実施割合は、「低リスク国」は1%、「標準リスク国」は3%、「高リスク国」は9%とされる。

(山田健一郎)

(ラオス、EU)

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