シンガポール総選挙、与党PAPが圧倒的勝利
(シンガポール)
シンガポール発
2025年05月07日
シンガポールの与党である人民行動党(PAP)は5月3日に投開票された議会総選挙で、定数97議席中87議席を獲得した。ローレンス・ウォン首相兼財務相率いるPAPは、憲法改正に必要な3分の2以上の議席を獲得し、得票率も65.6%と前回の2020年総選挙の得票率(61.2%)を上回る圧倒的な勝利を収めた。
今回の総選挙は、2024年5月に第4代首相に就任したウォン政権での初の選挙だった。ウォン首相は開票後の会見で、総選挙での勝利について「(現政権に対する)国民の信頼、信任の明確なシグナルだ」と述べた。同首相率いる与党は今回の選挙戦で、新型コロナ禍などの危機を乗り越えた実績を強調し、米国の相互関税措置など、国際経済環境を乗り越えるために強い国民の支持を求めていた。同首相は「(選挙)結果は、この波乱に立ち向かうにあたってシンガポールが良い状況にあることを示している」と強調。「国際メディアや投資家、外国政府などが選挙結果を注視することになる」と語った。
総選挙では、18のグループ選挙区(GRC、注)と15人の1人区の合計97の定数に対し、PAPのほか、労働者党(WP)を筆頭に野党10党、無所属を含め計211人が立候補した。野党のうちWPは、前回の総選挙と同様に、GRCのうち2つの選挙区と1人区で勝利して10議席を維持したものの、前回と比べて議席を伸ばすことができなかった。
与党勝利で、ルビオ米国務長官が祝意
米国のマルコ・ルビオ国務長官は5月3日の声明で、ウォン首相とPAPに対し総選挙での勝利に祝意を示した。同長官は、米国とシンガポールが「60年近くにわたり、インド太平洋地域の安全、自由と繁栄のため、強固で永続的な戦略パートナーシップを維持してきた」と述べた。その上で、今後も引き続き経済成長と両国間の国防、安全保障の強化に向けて、ウォン首相率いる新政権と密接に協力していく意向を示した。
(注)同国の選挙区は、グループ選挙区(GRC)と1人区で構成。GRCは4~5人の候補者を擁立する選挙区で、華人以外の少数民族の声を国会に反映することを目的に、候補者の少なくとも1人が少数民族の必要がある。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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