2025年第1四半期GDP成長率、前年同期比5.4%、予想を下回る

(フィリピン)

マニラ発

2025年05月20日

フィリピン統計庁(PSA)は5月8日、2025年第1四半期(1~3月)のGDP成長率が前年同期比5.4%だったと発表した(添付資料表参照)。2024年第4四半期(10~12月)の5.3%はわずかに上回ったものの、2024年第1四半期の5.9%より低い水準で、政府の年間目標の6.0~8.0%の下限を下回った。

事前の現地報道では、経済企画開発省(DEPDev)のアルセニオ・バリサカン大臣や、財務省のラルフ・レクト大臣が少なくとも6.0%になるとの見通しを示していた(4月21日付「ビジネス・ワールド」紙)。また「インクワイアラー」紙(5月5日付)が調査した12人のエコノミストによる中央予測値は5.9%だったが、これらの予測も下回った。

産業別にみると、「農林水産業」は2.2%、「鉱工業」は4.5%、「サービス業」は6.3%となった。うち「製造業」(4.1%)、「商業(卸・小売・自動車などの修理業)」(6.4%)、「金融・保険業」(7.2%)が第1四半期の成長を牽引した。

需要項目別にみると、民間最終消費支出が5.3%増加した。政府最終消費支出は、5月に行われた中間選挙の影響で、18.7%に増加し、2020年第2四半期(4~6月)以来で最高の伸び率となった。国内総固定資本形成は4.0%、財・サービスの輸出は6.2%、輸入は9.9%だった。

今回の結果を受けて、バリサカン大臣は、第2四半期の結果を見て判断するとしていた目標の見直しについて(2025年3月31日記事参照)、米国の関税政策など世界貿易の不確実性を考慮して、下方修正する可能性を示唆した。また、IMFと世界銀行も、2025年のフィリピンのGDP成長率予測をそれぞれ引き下げている(注)。

なお、4月3日のPSAの発表で、2024年第4四半期のGDP成長率(確定値)は5.2%から5.3%、2024年通年は5.6%から5.7%にそれぞれ上方修正した。2023年通年は5.5%で維持した。

(注)IMFは6.1%から5.5%、世界銀行は6.1%から5.3%に引き下げた。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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