国内最大規模の防衛・セキュリティー総合展示会「DSEI JAPAN2025」開催

(日本)

調査部国際経済課

2025年05月28日

幕張メッセ(千葉県幕張市)で5月21~23日、防衛装備品の国際総合見本市「DSEI JAPAN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。主催のDSEI JAPANによると、450社以上が出展し、その4割が日本企業だった。

DSEIは英国発祥の展示会で、日本開催は2019年以来3回目となる。日本政府や防衛分野の有識者で構成するDSEI Japan 実行委員会が主催しており、防衛省、防衛装備庁、経済産業省などが後援する。主催団体によると、防衛装備品に関する総合見本市では日本最大規模だという。

オープニングカンファレンスでは、DSEI JAPAN実行委員会が、インド太平洋地域の地政学的緊張の高まりに伴って、防衛関連先進技術や日本と同志国間の連携推進の重要性を強調した。初の試みとしてデロイト社が協賛する「Japanese Newcomer zone」が設けられ、20社が出展した。デュアルユース分野(注1)で優れた技術を持つ日本企業がブースを構え、人工知能(AI)やサイバーセキュリティー、ドローンといった分野の技術を紹介した。

初出展したイノフィス(東京都八王子市)は、圧縮空気で動作し重量物運搬に特化したアシストスーツ「マッスルスーツ」を手掛ける企業だ。2023年に防衛省と経済産業省が設置した「防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会」への参加を契機に、防衛産業に参入した。マッスルスーツは現在、航空自衛隊の千歳基地、百里基地、新田原基地で採用され、物資の輸送に活用されているほか、海外から見学の引き合いもあるという。

同社取締役の依田大氏は「海外からの関心も高く、防衛産業は市場拡大が期待される一方で、特にスタートアップ企業にとっては採用までに時間を要するなど、参入障壁が存在する。そのため、民間市場の拡大にも取り組みつつ、防衛分野には中長期的な視点で向き合うことが重要」と語った。

写真 イノフィスの講演(ジェトロ撮影)

イノフィスの講演(ジェトロ撮影)

会場には米国や英国を代表とする14カ国のブースに加え、楽天グループの協力の下でウクライナの防衛技術イノベーションを支援する政府機関「Brave1」のブースも設けられ、ドローンやIT技術を活用する同国のスタートアップ企業6社が出展した。楽天グループ広報は「世界中で民生技術が急速に進化しており、防衛分野にも革新をもたらしている。楽天は最新の民生技術と防衛産業を結びつけることができる独自の知見があり、このたびのBrave1との協力を通じて、ウクライナの復興と発展を後押していきたい」と語っていた。

写真 ウクライナブース(ジェトロ撮影)

ウクライナブース(ジェトロ撮影)

会場には中谷元・防衛相と英国のマリア・イーグル防衛装備担当大臣も訪れ、基調講演を行った。イーグル氏は、英国が自由で開かれたインド太平洋に持続的なコミットをすることや、GCAP(注2)を通して日英の防衛協力がさらに緊密になることに言及した。中谷防衛相は、日本が官民一体となって防衛装備移転を進め、地域の平和と安全に貢献していくと強調した。

写真 中谷防衛相による基調講演(ジェトロ撮影)

中谷防衛相による基調講演(ジェトロ撮影)

写真 日本と英国、イタリアによる次世代戦闘機「GCAP」のブース(ジェトロ撮影)

日本と英国、イタリアによる次世代戦闘機「GCAP」のブース(ジェトロ撮影)

(注1)民間と軍事(安全保障)の両方で活用できる技術

(注2)グローバル戦闘航空プログラム(英:Global Combat Air Programme)の略

(峯裕一朗)

(日本)

ビジネス短信 5ed94306ee277843