カンヌ・フィルム・マーケット2025で日仏国際共同製作扱ったカンファレンス実施

(フランス、世界)

パリ発

2025年05月28日

映画業界の世界3大展示会の1つとされているカンヌ・フィルム・マーケット(Marché du film外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます513日から21日まで、フランス・カンヌで開催された。同展示会は、第78回カンヌ国際映画祭(会期:51324日)に併設して開催されるBtoB展示会で、今回は登録者情報で140カ国以上から入場者数15,000人超(うち、バイヤーは約1,700人)、約600社が出展した。日本からはユニジャパンがジャパンブースとジャパンパビリオンを運営したほか、映画製作会社や放送局、アニメ制作会社などが出展した。

写真 展示会場の外観(ジェトロ撮影)

展示会場の外観(ジェトロ撮影)

今回は、ブラジルがカントリー・オブ・オナーを務め、ブラジルの文化相が登壇するカンファレンスやオープニングナイトが実施されるとともに、ブラジルとフランス間の国際共同製作を推進するプロジェクトなど、さまざまな取り組みが紹介された。

写真 ブラジルの文化相の講演(ジェトロ撮影)

ブラジルの文化相の講演(ジェトロ撮影)

会期中は各種カンファレンスや試写に加え、各国が会場内外でネットワーキングイベントを開催した。前年に続き、国際共同製作をはじめ、人工知能(AI)やXR(クロスリアリティー、注)などのエンタメテクノロジーの分野を取り上げたカンファレンスが目立った。特に国際共同製作を推進する動きは顕著で、フランスはカンヌ国際映画祭を機にモンテネグロ、パラグアイ、フィリピンと国際共同製作協定を締結した。

ジェトロはこうした動きを踏まえつつ、日本とフランスの国際共同製作や日本映画の魅力を語るカンファレンスとして「France-Japan Filmmaking: Unlock the power of cooperation between the 2 countries」「Distributors, Festivals, Platforms: Why bet on Japanese Cinema?」を開催した。映画祭のコンペティションノミネート作品の「ルノワール」や、独特の視点の作品などが集まる「ある視点」部門ノミネート作品の「遠い山なみの光」も、海外との国際共同製作による作品だ。

写真 ジェトロ主催のカンファレンス(左から5月14日の回と、16日の回、ともにジェトロ撮影)

ジェトロ主催のカンファレンス(左から5月14日の回と、16日の回、ともにジェトロ撮影)

今回のカンヌ国際映画祭では、上述の2作品に加え、ミッドナイト・スクリーニング部門では「8番出口」、監督週間では「国宝」と「見はらし世代」、カンヌプレミアとして「恋愛裁判」、ラ・シネフとして「ジンジャー・ボーイ」、カンヌ・クラシックスで「浮雲」「ヤンヤン 夏の想い出」、野外上映のシネマ・ド・ラ・プラージュでは「天使のたまご 4Kリマスター」が選出された。10本もの日本作品がカンヌのスクリーンで上映され、日本映画の活躍が見られた。

(注)クロスリアリティーとは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)の各要素を組み合わせた技術領域。

(𠮷澤和樹)

(フランス、世界)

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