湖南省長沙市に9,000トン級のエアドーム式穀物倉庫が完成、実用化へ

(中国)

武漢発

2025年05月12日

湖南省長沙市で5月5日、中国初となる9,000トン級のエアドーム式穀物倉庫への空気の充填(じゅうてん)が完了した。エアドーム式穀物倉庫は5基あり、それぞれの直径は24メートル、高さは33メートル、倉庫の貯蔵可能量は9,000トンで、これは2,300万人の1日分の食糧に相当する。倉庫の構造としては、一番外側のフィルム層に加え、形状維持のための鉄筋コンクリート層と断熱のためのポリウレタン層がある。使用開始後、内部には多数のセンサーが均等に配置され、穀物倉庫全体の温度をリアルタイムで全面監視することができる。

穀物の貯蔵、加工、物流を担う中国儲備粮管理集団の長沙倉庫の王耀武副総経理は、従来のサイロ型に比べ、エアドーム式倉庫は穀物貯蔵の空調温度制御のためのエネルギー消費量が50%削減されると指摘。また、窒素空調技術を用いて、エアドーム内に高純度窒素を注入することで、酸素がほぼない環境を作り出すことで害虫を防止し、穀物の品質を確保すると述べた。

エアドーム式倉庫の内部は広々としていて、バスケットボールのコートよりもかなり大きい。倉庫内には梁(はり)や柱がなく、スペースの利用効率はかなり高い。ベルトコンベヤーで運ばれてきた穀物は、天井部から入れられ、倉庫内に均等に落下する。同社スタッフによれば、エアドーム式倉庫は防水性、保温性、高気密性だけでなく、建設後の実際の運用とメンテナンスのコストも従来の穀物サイロと比較して30%削減することができるという。

中煤建設集団のエアドーム式倉庫建設プロジェクトの責任者である金峰氏は「エアドーム式倉庫の断熱層と鉄筋コンクリート構造層は、いずれもエアドーム内に建設されており、雨、雪、強風などの悪天候の影響を全く受けない。従来、サイロ型の建設には数百人が必要だったが、現在の必要人数はわずか18人だ。前の世代の浅い円形サイロに比べ、建設工期は4分の1に短縮される」と述べた。

5基の9,000トン級エアドーム倉庫プロジェクトは2025年末までに完成し、2026年2月に使用開始される予定だ。

(高橋大輔)

(中国)

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