ジェトロ、横浜でウクライナ復興支援ビジネスセミナー開催
(ウクライナ、日本)
横浜発
2025年05月23日
ジェトロは5月15日、神奈川県、神奈川産業振興センター(KIP)と共催で、「ウクライナ復興支援ビジネスセミナー」を開催した。ジェトロ・キーウ事務所の柴田哲男所長と在ウクライナ日本大使館の平木忠義一等書記官が登壇し、商社や物流、建設を中心に約120人が来場した。
柴田所長は「ウクライナビジネスの動向と機会」と題して講演し、戦時下にありながらも落ち着いた様子のキーウ市内や、にぎわう鉄道駅や市民が憩うカフェの様子、高級スーパー、はやりの日本食レストランなどを紹介した。
ウクライナには現地企業の買収や工場設立などによる進出日本企業が約40社あるが、多くは現在、ポーランドに日本人駐在員を置いて、現地と連携しながら事業を遂行している。また、ウクライナ企業や第三国企業と協業する日本企業の動きも見られると述べた。
外資系企業は投資に意欲的で、2022年以前から進出する企業が追加投資に積極的なほか、ロシアによる侵攻後も、建設や軍事、食品などさまざまな分野で大型投資が計画・実行されていると指摘した。日本政府は、日本企業によるウクライナへの技術移転やインフラ再建などを後押しする補助事業を実施しており、今後10年間で約78兆円と見込まれる巨大な復興需要(2025年3月3日記事参照)を獲得する一助となることが期待されている。
在ウクライナ日本大使館の平木書記官は「ウクライナの最新情勢」と題した講演で、現地の治安状況や経済概況を解説するとともに、農業、イノベーション、エネルギー、医療分野に関するウクライナの可能性や、政府による支援、現地企業の取り組みなどを紹介した。主要産業の農業分野でGPSや気象データを活用した大規模農業運営や、喫緊の課題の電力供給と再生可能エネルギーの導入、現地企業によるバイオエコシステム投資構想などを例に挙げた。近年では水素・アンモニア、太陽光発電などさまざまな分野でウクライナ企業からビジネス提案が出ている点も説明した。
セミナー参加者からは、「日頃は戦地の映像を見ることが多い中で、首都キーウや西部では日本と変わらない生活を送っていることに驚いた」といった声や、「ウクライナやウクライナビジネスに取り組む第三国企業とのビジネスマッチングの場を設定してほしい」といった要望が寄せられた。
セミナーの様子(ジェトロ撮影)
(堀田萌乃)
(ウクライナ、日本)
ビジネス短信 3722e494cddbe927