上海市、輸出業者の国内販路開拓を促進

(中国)

上海発

2025年05月12日

米国による対中追加関税により苦境に立たされる中国の輸出業者に対し、中国国内の販路開拓を地方政府が促進する動きが広がっている。上海市市場監督管理局の倪俊南局長は、5月1日に行われた「2025上海民生」のインタビューにおいて、輸出が阻害されている対外貿易製品に中国語表示のラベルを貼り付けることで、早期に国内市場での販売を促すことや、国内販売基準を早期に満たせるよう、規格の制定・修正、製品検査・測定などにおいて総合的サービスを提供していくことなどを発表した。また、企業の認証費用の負担を低減できるような支援策も検討しているとした。

上海市商務委員会は4月18日、「上海市電子商取引対外貿易製品国内販売開拓支援商談会」を開催した。上海市商務委員会、上海市市場監督管理局、上海市金融監督局などの部門が、対外貿易製品の中国国内市場販売の拡大、国内販売拡大時のコスト軽減、外国貿易企業の国内市場における経営能力の向上、および国内販売拡大に関する財政支援などの政策について説明するとともに、電子商取引プラットフォーマーとの商談会などを実施している。また、4月28日には上海市商務委員会の主催で、上海市内の主な百貨店、スーパーマーケットなど80社近くの対外貿易企業を招いて「対外貿易優良商品商談会」を開催し、上海市の対外貿易企業による国内消費市場へのアクセスを後押しした。

「解放日報」は、5月1日からの労働節期間中、上海市内の商業施設やスーパーマーケットのほか、EC(電子商取引)サイトなどに、対外輸出を想定していた製品の特設コーナーが設けられた、と報じた。特設コーナーで靴、衣服、コップ類、ペット用品、生花、茶など、追加関税の影響により輸出できなくなった米国向けの製品が販売されている様子などを伝えている。また、永輝超市が、米国ウォルマートに商品を供給している江蘇華騰個人護理用品と提携し、短期間で中国国内での販売を実現した事例などを紹介している(「解放日報」2025年5月3日)。

(尹世花)

(中国)

ビジネス短信 35d4fd087ee30074