ドイツ自動車産業連合会の調査、4分の3の企業が国内投資を見送る
(ドイツ)
ミュンヘン発
2025年05月23日
ドイツ自動車産業連合会(VDA)は5月21日、ボンで同日開催した中小企業に関する会議「第25回ミッテルシュタントターク」(注)に合わせて、自動車部品メーカーの景気状況や投資計画についての調査結果を公表した。この調査は5月5~15日にVDA会員企業のうち、完成車やエンジンメーカーを除く自動車部品関連企業などを対象に実施し、136社が回答した。
調査結果によると、回答企業の42%が自社の景気状況について、「悪い」または「非常に悪い」と回答し、自社の景気が「良い」または「非常に良い」と回答したのは19%にとどまった。「どちらでもない」は39%だった。今後12カ月の見込みについては、31%が景気状況が「改善する」、26%は「悪化する」見込みと回答し、43%は「変わらない」とした。
VDAのヒルデガルド・ミュラー会長は、ドイツの自動車部品メーカーが直面している困難として、(1)国際的な競争の激化、(2)地政学的な不確実性の増大、(3)世界中での保護主義の拡大などを挙げた。また、自動車部品メーカーはモビリティーの気候中立に向けた構造変化を乗り越えなければならないとした。
ドイツ国内への投資については、回答企業の76%が予定していた投資を「中止する」「延期する」または「国外投資に変更する」と回答した。国外投資に変更するとした企業は24%で、前回調査(2025年2月)に比べると、5ポイント低下した。投資の変更先は、他のEU加盟国、アジア、EU以外の欧州、北米の順番だった。投資を中止するとした企業は前回調査の14%から20%に拡大した。他方、国内の投資拡大を計画するとした企業は1%のみだった。
国内投資の阻外要因として、58%が「販売状況の悪さ」または「販売予測の悪さ」を挙げた。VDAによると、欧州市場では乗用車販売が振るわず、ドイツ国内の乗用車生産もいまだ新型コロナウイルス危機前の水準を約20%下回っている。また、16%がドイツでの高いコストが投資に影響を及ぼすとした。次いで15%が「資金調達の条件」を要因として挙げた。
(注)ドイツ語の「ミッテルシュタント(Mittelstand)」は、一般的には「中小企業」と和訳されるが、ドイツ語圏での企業特色を示す言葉でもある。ミッテルシュタントの詳細は、ジェトロ調査レポート「ドイツにおける中小企業政策とケーススタディ」(2021年3月)参照。
(クラウディア・トーディ)
(ドイツ)
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