中国と欧州議会、相互交流に関する制限を同時撤廃することで合意

(中国、EU)

上海発

2025年05月12日

中国外交部は5月6日、中国と欧州議会が相互交流に関する制限を同時に撤廃することで合意したと発表した。同部の林剣報道官は同日の定例記者会見の中で、「中国と欧州議会の相互交流には過去数年、周知の理由により幾つかの紆余(うよ)曲折があった。現在の情勢下で、双方は対話と協力を強化することが非常に重要だと考えている。相互交流が全面的に再開されることで、双方の交流と理解が一層深まり、中国・EU関係の持続的かつ健全で安定した発展に新たな推進力がもたらされると信じ、期待している」と述べた。

中国政府は2021年3月、EU加盟国の10人の個人および4団体に対し、中国国内への入境を禁止する制裁措置を発表。同措置を受け、欧州議会は、中国との公式対話の停止、EU・中国間の包括的投資協定(CAI)の批准に関する交渉を凍結するとしていた(注)。2025年4月30日、欧州議会ロベルタ・メツォラ議長が、中国政府が本制裁を解除したことを通知した、と公式HPで発表していた。

5月6日には、中国とEUの外交関係樹立50周年を祝うレセプションが北京市で開催され、中国の韓正国家副主席が出席し、演説を行った。演説の中で、現在の激動する国際情勢の下で中国とEUの関係は戦略的重要性と世界的な影響力を持っていると述べ、中国とEUの関係の継続的な発展を促進していくと発言した。

また、5月7日の中国外交部の定例記者会見では、中国とEUの経済規模の合計は世界の3分の1、貿易総額の合計は世界の4分の1を超えており、中欧が対話協力を選択する限り、対立しないと述べた。また、中欧の協力は互いのためだけでなく、世界を照らすと述べ、アントニオ・コスタ欧州理事会常任議長と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の中国訪問、中欧首脳会談の開催を歓迎すると表明した。

(注)欧州議会は2021年5月、中国政府が同年3月にEU加盟国の10人の個人、欧州議会人権問題委員会を含む4団体に対し、関係者およびその家族が中国大陸および香港・マカオ特別行政区への入境を禁止するなどとした制裁措置を受け、中国とのすべての公式対話を停止。EU・中国間の包括的投資協定(CAI)の批准に関するいかなる交渉も検討しないとしていた。

(神野可奈子)

(中国、EU)

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