4月の米雇用統計、新規雇用者数は17.7万人増と労働市場は堅調さ保つ
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月07日
米国労働省は5月2日、2025年4月の雇用統計を発表した。トランプ政権による相互関税発表後の状況が一部反映された初の雇用統計となったが、雇用は引き続き堅調さを保っているもようだ。
就業者数(前月差43万6,000人増)、失業者数(同8万2,000人増)、労働参加率(62.6%、前月から0.1ポイント上昇)を踏まえた失業率は4.2%(前月4.2%)となり、市場予想(4.2%)と一致した(添付資料表1、図1参照)。非自発的にパートタイムを選択している者などを加えた広義の失業率(注)は7.8%で、前月から0.1ポイント低下した。
非農業部門の雇用者数の伸びは17万7,000人増となり、市場予想(13万8,000人増)を大きく上回った。なお、2月の数値は11万7,000人増から10万2,000人増に、3月の数値は22万8,000人増から18万5,000人増に、それぞれ下方修正された。3カ月平均では15万5,000人増で、なお堅調さを保っているといえそうだ。
新規雇用者数増の内訳をみると、民間部門は16万7,000人増、政府部門は1万人増となっている(添付資料表2参照)。政府部門では、連邦政府が9,000人減となる一方、州・地方政府で増加した。
民間部門では、財部門が1万1,000人増で、製造業1,000人減、建設業1万1,000人増だった。サービス部門は15万6,000人増で、ヘルスケアを中心とした教育・医療(7万人増)のほか、娯楽・接客業(2万4,000人増)、運輸・倉庫業(2万9,000人増)、対事業所サービス(1万7,000人増)など幅広い業種で伸びが見られた(添付資料表2、図2参照)。
平均時給は36.1ドル(前月36ドル)で、前月比0.2%増(前月0.3%増)、前年同月比3.8%増(前月3.8%増)だった(添付資料表1参照)。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比3.9%増で、いずれもわずかに下回った。業種別にみると、情報業や金融業など賃金水準が高い部門での伸びが目立っている。
4月の雇用情勢は、3月に続き比較的堅調さを保っていることが確認された。今のところ、継続的に有意な減少がみられる部門は連邦政府など一部に限られている。ただし、関税引き上げのコストを企業がどのように取り扱うのかについては、いまだ決まっていない部分も多く、今後の価格転嫁の状況などによっては雇用に下押し圧力がかかる可能性は残されている。
(注)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせて算定した数値。
(加藤翔一)
(米国)
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