武漢市発着の中欧班列、輸送ルート増え貿易総額も増加
(中国)
成都発
2025年05月26日
中国・湖北省武漢市政府は5月10日、2025年5月時点で武漢市からロシア向けの輸送貨物量は5万8,036TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)、貿易総額は126億7,400万元(約2,534億8,000万円、1元=約20円)になったと発表した。また、ロシアから武漢市向けの輸送貨物量は16万3,300TEU、輸送貨物量は60億4,600万元となった。
武漢市を発着する中欧班列(注1)は2012年10月に運行を開始した。輸送ルートとしては、武漢市を出発後、内モンゴル自治区エレンホト(二連浩特)から国境を越え、モンゴルを経由し、ロシアや欧州諸国・地域(以下、欧州)に到着する。そのほか、武漢市を出発後、新疆ウイグル自治区アラシャンコウ(阿拉山口)市から国境を越え、カザフスタンを経てロシアや欧州へ到着するルートも開通している。また、内モンゴル満洲里市から、ロシアや欧州へ通じるルートも開通されるなど、武漢市発着の輸送ルートは増え続けている。2024年には、年間で合計1,008本の貨物列車が武漢市から発着し、輸送貨物量は8万3,500TEU、貿易総額は183億8,400万元となった。定期便の運行が開始された2014年に比べて輸送貨物量は38%増、貿易総額は21%増と大幅に増加した。
輸送品目をみると、武漢市から欧州への主な輸出商品は、機械設備およびその部品、完成車、自動車部品、電子製品などが多く、輸入商品は主に紙製品、木材、化学工業品、ゴム製品、設備・部品などとなっている。なお、近年、輸送品目は全体的に高付加価値化が進んでおり、従来の電子製品、自動車部品、機械設備から、太陽光パネル、新エネルギー車、リチウム電池まで拡大している。直近では、武漢市に本拠を置く中国国有自動車大手の東風汽車が高級電気自動車(EV)ブランド「嵐図(VOYAH)」のロシア向け国際定期便の輸送を開始した。
中鉄聯集(注2)武漢中心駅の関係者によると、これまで、武漢市から欧州への貨物輸送は主に海上輸送で60~75日程度かかっていたが、中欧班列の利用により所要日数を13~15日程度に短縮できるという。
また、武漢市は長江流域の国際物流ハブとしての地理的優位性を生かし、長江輸送と鉄道輸送を結ぶ複合輸送サービスも展開している。中鉄聯集武漢中心駅の関係者によると、日本~武漢市~欧州までの輸送ルートとしては、日本から上海市まで貨物を海上輸送した後、長江を利用して武漢市まで輸送してから、中欧班列で輸送するという。
武漢市発展改革委員会は2月11日、同市にある長江中上流域で最大のコンテナ港の陽邏港で、武漢市で2番目となる中欧班列発着駅として、欧州への路線が正式に開通したと発表した。同港を長江流域の物流ハブとして発展させるとともに、一帯一路と長江経済ベルトをつなぐ拠点とするとした。
(注1)中国と欧州や中央アジアなどの「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車。
(注2)中鉄聯集は、全国各地の鉄道コンテナ施設の建設・運営を担う中外合弁企業。中鉄コンテナ輸送社ほか、香港新創建服務管理、PSA CHINA SUPPLY CHAIN(シンガポールの港湾運営企業の中国子会社)、中国国際海運コンテナ集団、ドイツ鉄道運輸物流(DB)の5社が出資している。同社は現在、昆明市、重慶市、成都市、ウルムチ市など13の拠点を有しており、全国の鉄道コンテナ輸送ネットワークを形成している。
(王植一)
(中国)
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