フリマ大手メルカリ、越境取引を通じて香港へ進出

(香港)

香港発

2025年05月20日

フリマアプリ大手のメルカリ(本社:東京都港区)は5月7日、香港への越境取引進出を公表した。これまでの越境販売はEC事業者の持つマーケットプレイスで商品を購入する形式だったが、香港に居住する者はメルカリに会員登録することで、ブラウザから直接商品が売買できるウェブ版メルカリを通じて、日本で出品された商品を購入することができる。現時点においてウェブ版のみの提供となる。購入時も別サイトに遷移することがないため、香港のユーザーは、登録から購入まで一気通貫で体験することができ、発送通知なども基本的にメルカリから受領し、メルカリ独自のキャンペーンも体験することができる。また、香港のユーザーは購入プロセスを繁体字、または英語で完結できるようになり、香港ドルで取引金額が表示され、香港ドルで決済が可能となる。日本での売買取引と同様に、販売手数料(10%)および送料以外のコストは発生せず、商品は日本の出品者の発送からおおむね1~2週間程度で香港の購入者の元に届くこととなる。

メルカリの越境取引進出は2024年8月の台湾に次いで2カ所目だが、台湾では2025年3月には登録者数が20万人を超えるなど、すでに広がりをみせている。

香港の人口規模は753万人と限られるが、メルカリの国・地域別の越境取引先としては、取引金額・取引件数とも第4位で、1回の取引における平均金額が高い特徴がある。取引分類では、他の国・地域と比して、キャラクターグッズが人気である。また、2024年の香港人の訪日数は268万3,500人と、人口に比して高い割合を占めており、リピーターも多いことから、日本の文化や流行も熟知している。

香港は日本での流行がほぼリアルタイムで伝播し、日本の漫画やアニメのキャラクターも人気であり、若者を中心として日本人と同様に推し活にも精力的と言われる。また、多言語での情報収集が得意な香港人はSNSを駆使して情報を入手する(2025年2月19日付地域・分析レポート参照)。香港では日本のキャラクターのポップアップ店も定期的に開催されており、日本のキャラクターグッズの人気は引き続き根強い。メルカリは2,300万人が利用する日本最大のフリマアプリであり、香港の居住者はキャラクターグッズなど日本ならではの商品を探しやすくなり、さらに取引が活発になることが期待される。

(松浦広子)

(香港)

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