連邦憲法擁護庁、AfDの右翼過激派団体認定を保留に
(ドイツ)
ベルリン発
2025年05月15日
ドイツの連邦憲法擁護庁は5月8日、政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を右翼過激派団体と認定したこと(2025年5月8日記事参照)について、AfDの提訴を受けて認定を保留とすると表明した。ケルン行政裁判所が同日付で発表した(プレスリリース、ドイツ語)。
AfDは5月5日に行政裁判所に対して、連邦憲法擁護庁による右翼過激派団体認定とその公表を不服として、仮差し止めの申し立てを行っていた。これを受けて同庁は、判決が出るまではAfDを右翼過激派団体として分類せず、当面は従来分類されていた「疑わしい案件」として取り扱う。この発表とともに、関連プレスリリースもウェブサイト上から削除された。
なお、現地報道では、連邦憲法擁護庁が意見を変えたり認定に誤りがあったりしたことを意味するのではなく、分類変更が政党に与える影響が大きいため、裁判所による審査と判断を待つことにしたとの見方が強い。連邦憲法擁護庁による認定の保留は、今回が初めてではなく、2021年2月にAfDが「疑わしい案件」と分類されたことに対して訴訟を起こした際も、同様の対応を取っていた(注)。
AfDは右翼過激派団体という認定の取り消しを求めているが、最終判決には1年以上かかる見通しだ。なお、「疑わしい案件」として分類されていることから、連邦憲法擁護庁によるAfDの監視活動は引き続きできる。
AfDは国内の4州(ザクセン州、ザクセン・アンハルト州、チューリンゲン州、ブランデンブルク州)でも、それぞれの州組織が各州の憲法擁護庁によって右翼過激派団体に認定されている。
(注)AfDは、2021年2月に連邦憲法擁護庁により、3段階中2段階目の「疑わしい案件」と認定された際にも、認定取り消しを求めてケルン行政裁判所に提訴。2022年3月に認定に問題はないとの判決が出た。AfDはミュンスター高等行政裁判所に控訴したが、同裁判所も連邦憲法擁護庁の認定を支持した。報道によると、AfDは上告し、現在はドイツの最高行政裁判所のライプチヒ連邦行政裁判所で、連邦憲法擁護庁による認定の取り消しを求める審査が続いている(「シュピーゲル」誌、2024年9月17日)。
(打越花子)
(ドイツ)
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