ルーマニア大統領選で親EU候補が当選、極右候補に逆転勝利
(ルーマニア)
ブカレスト発
2025年05月20日
ルーマニアで5月18日、大統領選再選挙(注)の決選投票が行われ、中央選挙管理委員会が発表した最終結果によると、無所属で中道の現ブカレスト市長のニクショル・ダン氏が得票率53.60%で、極右のルーマニア統一同盟(AUR)候補のジョルジェ・シミオン氏(同46.40%)を破って勝利した。
同月4日に行われた再選挙の第1回投票では、シミオン氏が得票率40.96%を獲得し、20.99%のダン氏を大きく引き離して(2025年5月7日記事参照)、シミオン氏当選が有力と予想されていたが、決選投票ではダン氏とシミオン氏による接戦が繰り広げられ、ダン氏が中道や左派の支持層を集めて逆転勝利を収めた。
決選投票で有権者登録のある1,799万人のうち、投票者数が1,164万人で投票率は64.72%となり、1996年以来最高を記録した。国内での投票者数は第1回投票より140万人多い1,000万人に迫り、在外投票では過去最高の164万5,000人(第1回投票では97万3,000人)が投票した(「ルーマニア・インサイダー」5月18日)。
ダン氏は親EU・親NATO路線を支持し、特にウクライナへの支援を継続する意向や、行政改革や政治安定に努めることを表明していた。一方のシミオン氏は国家主権の強化を掲げ、EUやNATOに懐疑的な見解を持ち、ウクライナへの支援停止などを宣言していた。
今後、ダン氏による親EU路線の維持と国内政治の安定化への取り組みが期待される。
(注)2024年11月に実施され、12月に無効となった大統領選挙(2024年12月10日記事参照)の再選挙。
(小林京瑞)
(ルーマニア)
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