大統領選は予想以上の接戦に、6月1日に上位2人で決選投票

(ポーランド)

ワルシャワ発

2025年05月22日

ポーランド大統領選挙が5月18日に行われ、中道与党「市民プラットフォーム(PO)」のラファウ・トシャスコフスキ・ワルシャワ市長が31.36%の得票率で1位、保守野党「法と正義(PiS)」が擁立する無所属のカロル・ナブロツキ候補が29.54%で2位となった。そのほか、極右政党「同盟」(注)のスワボミル・メンツェン候補が14.81%で3位、同じく極右政党である「ポーランド王冠同盟」の党首で欧州議会議員のグジェゴシュ・ブラウン候補が6.34%で4位だった。投票率は67.31%と、大統領選挙の第1回投票として過去最高だった。6月1日に上位2人による決選投票が行われる。

民間テレビ局ポルサットが選挙直前に行った世論調査(5月15日)では、トシャスコフスキ候補が31.1%、ナブロツキ候補が25.3%の得票率になると予想されていたが、実際には1.82ポイントの僅差と、想定以上の接戦となった。また、極右政党の候補者も予想以上に票を伸ばした。今後、ナブロツキ候補が右派政党の支持層を固めることができれば優勢となるが、5月21日時点でメンツェン氏とブラウン氏は決選投票での支持候補を明言していない。メンツェン氏は、同氏のYouTubeチャンネルで討論会を行うとし、決選投票の候補者を招待した。また、ブラウン氏も候補者への質問リストを送るなど、慎重な動きを見せている。決選投票日までの間、決選投票の候補者のみならず、第1回投票で敗れた元候補者らによる発言、動向が注目される。

与党のトシャスコフスキ候補が勝利すれば、国会と大統領のねじれ関係が解消され、効率的な政権運営が可能となる一方、公約実現の遅れ、政策をめぐる連立与党内の対立がより一層目立つことになる(2025年2月27日付地域・分析レポート参照)。対するナブロツキ候補は「ポーランドファースト」を掲げており、またウクライナのNATOおよびEU加盟に反対しているなど、勝利した場合に、EUやウクライナとの関係に少なからず影響を与えることが予想される。

(注)正式名称は「自由と独立連盟」。

(金杉知紀)

(ポーランド)

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