中国、何立峰副首相が5月9~12日にスイスを訪問し、期間中に米国側と関税に係る会談を実施と発表

(中国、米国)

北京発

2025年05月07日

中国外交部は5月7日、何立峰副首相による5月9~12日のスイス訪問中に米国側との会談を実施すると発表した。発表によると、何副首相は米中経済貿易協議における中国側トップとして、米国のスコット・ベッセント財務長官と会談を行うとしている。

これを受け、中国商務部はメディアからの問いに対し次のように回答した。まず、米国の新政権は就任以来、一連の違法かつ不当で一方的な関税措置をとり、米中経済貿易関係に深刻な打撃を与え、国際経済・貿易の秩序を乱し、世界経済の回復に厳しい困難をもたらしたと批判。中国は自身の正当な権益を守るため、一貫してこれに反対する姿勢を取ってきたと指摘した。また、米国が最近、関税措置の調整について、さまざまなルートを通じて積極的に中国側にシグナルを送り、同問題について中国側と協議を行う希望を示してきたと説明した。その上で、中国は米国のメッセージを真摯(しんし)に評価し、世界の期待、中国の利益、米国の経済界と消費者からの呼びかけを十分に考慮した上で、米国と接触することに同意することを決めたと表明した。

他方で、商務部は、中国側の立場は一貫しており、自らの利益を守る決意は変わらないとし、また、いかなる協議も相互尊重の下、対等で互恵的な前提で実施されなくてはならないと述べた。さらに、米国が交渉を通じて問題を解決したいのであれば、自らの一方的な関税措置が自身と世界にもたらした深刻でネガティブな影響を直視し、誠意を示したうえで中国側と向き合うことが必要だとした。仮に米国が脅迫や恐喝行為を続けようとする場合、中国側は決して受け入れず、合意のために自国の原則的立場を犠牲にすることや、国際的な公平・正義を犠牲にすることはあり得ないと強調した。

なお、外交部は5月6日の定例記者会見において、メディアからの「ドナルド・トランプ大統領は最近、中国との交渉において対中関税を引き下げることはないと述べたが、米国が関税を引き下げなければ、中国は交渉を行わないのか」との問いに対し、この貿易戦争は米国側が始めたもので、中国側の態度は一貫しており明確だと回答した。また、貿易戦争に勝者はおらず、もし米国側が対話や交渉を通じて問題を解決したいのであれば、脅威による圧迫をやめ、平等、尊重、互恵の前提の下で中国側と対話を行わなければならない、と回答している。

(亀山達也)

(中国、米国)

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