チリ・中国首脳会談、多国間主義と自由貿易推進の重要性を共有

(チリ、中国)

調査部米州課

2025年05月16日

訪中したチリのガブリエル・ボリッチ大統領は5月14日、習近平国家主席と首脳会談を行った。両首脳による会談実施は今回で4度目となる。会談では、エネルギー転換、貿易、持続可能な開発など両国の戦略的協力関係において重要なさまざまなテーマが議論された。併せて、多国間主義と自由貿易推進の重要性が両国間で共有された。

会談の冒頭、ボリッチ大統領は、自由貿易が国民の福祉をも向上させ、互いに利益をもたらすものであるとした上で、「貿易戦争は問題や相違点を解決する手段ではない」ことを強調した。さらに、「一帯一路」参加国であるチリは、グローバルバリューチェーンの一部として中国でも高く評価されている認識を持っていると述べた。習国家主席は「中国とチリの包括的戦略的関係を引き続き充実させ、世界の平和と進歩をともに促進してきたい」との考えを示した。具体的には、農業、林業、牧畜業、漁業、インフラ、環境配慮型鉱産資源などの分野で協力を深めたいとしている。なお、チリと中国は2016年に両国関係を包括的戦略的パートナシップに引き上げている。

首脳会談の前日13日には、経済関係強化とチリから中国への直接投資促進を目的に「チリ-中国ビジネスフォーラム2025」が開催された。同フォーラムでもボリッチ大統領が登壇し、中国は重要なパートナーであることを強調。「気候変動やデジタルトランスフォーメーション(DX)などの直面する課題を解決するために、チリと中国は互いの、また地球全体の利益のために協力して取り組むことができるだろう」と述べた。

(佐藤輝美)

(チリ、中国)

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