京都のバイオ系スタートアップがドイツ進出
(ドイツ、日本)
ミュンヘン発
2025年05月27日
京都に本社を置くマイキャン・テクノロジーズが2025年4月にドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州ハイデルベルクに現地法人を設立、5月23日に開所式を開催した。開所式には、地元の自治体や商工会議所、ライフサイエンス産業団体や日系企業などが参加した。2016年に設立された同社は、再生医療技術に基づく発熱性物質試験向けの血球様細胞の開発・販売を手掛けており、ハイデルベルク子会社は初の日本国外拠点となる。
医薬品の出荷前に、微生物由来の発熱性物質に汚染されていないかを確認する試験では、ウサギを使った方法が広く行われているが、動物実験を行わない培養容器を使った試験(MAT試験)が注目されている。動物福祉の観点から、EUでは動物を使った試験が2026年以降に制限される予定。同社の製品はMAT試験に対応するもので、ドイツ子会社は欧州を含むグローバル展開の拠点となる。
同社は、2023年11月にミュンヘンで開催された欧州最大級のバイオカンファレンス「バイオ・ヨーロッパ(BIO-Europe)」(2023年11月21日記事参照)のジェトロブースへの参加などを通じて欧州進出を検討。宮崎和雄代表取締役CEOによると、英国、フランスおよびドイツへの進出を検討したが、ラボ設備が充実しているバイオ系スタートアップ向けインキュベーション施設である米国発のバイオラボ(Biolabs)がハイデルベルクに立地していたことから、そこに入居するかたちで現地法人を設立した。ドイツ拠点では、日本で販売している製品の欧州仕様への変更、顧客となる医薬品の評価サービス受託企業の開拓などに取り組む。欧州には競合他社がいるが、今後はプラスチック包装や試験工数を減らすなど一層サステナビリティを追求した製品を開発し、競争力を高めていくという。
バーデン・ビュルテンベルク州にはライフサイエンス産業が集積しており、同州によると、2022年時点で関連企業は約1,100社、約9万3,000人が従事している。そのうち、バイオテクノロジー分野は188社で、ハイデルベルクおよびその近郊のマンハイムの一帯には63社と州内で最大の集積があり、売り上げが最も多い地域の1つとされている。
(鷲澤純)
(ドイツ、日本)
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