「SEACare2025」開催、東南アジアにおける医療産業の最先端がマレーシアに集結
(マレーシア、ASEAN)
クアラルンプール発
2025年05月02日
マレーシアの首都クアラルンプール市で4月23日から25日にかけて、「Southeast Asia Healthcare and Pharma Show(SEACare)2025」が開催された。25回目の開催となる今回のテーマは「医療イノベーションにおける戦略的協同とデジタルトランスフォーメーションに向けた連携の促進」。医療機器やウェルネス製品、医薬品、医療観光などの分野に、13カ国から約130社が出展した。
展示会場の様子(ジェトロ撮影)
ジェトロは、ヘルスケア商品をはじめとする日本企業の商品販路をマレーシアで拡大するため、オンラインカタログサイト「Japan Street」の広報ブースを出展。マレーシアで需要増が見込まれるヘルスケア用品を展示・紹介した。同ブースでは、日本企業とスタートアップなどの海外企業の協業連携のためのプラットフォーム「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)」についても紹介し、多数のマレーシア企業が日本企業との協業連携に関心を示した。
ジェトロブースの様子(ジェトロ撮影)
日本企業からは、医療服を製造販売するクラシコ(東京都)が、市場として可能性のある東南アジアでの販路開拓のために初出展した。同社の江尻光秀海外部長は「来場者との会話を通して、現地特有のニーズやターゲット層を知ることができた。3日間で10を超える代理店候補と出会うことができ、輸出に向けた調整を進めていきたい」と手応えを語った。同じくブースを出展した、医薬品などの製造や卸売りを行うメディカル(東京都)の王華営業部長は「中国や韓国などからの出展も多く、同様の商品がある中で、自社の強みを積極的に発信していく必要がある」とコメントした。
開催初日の開会式で、ズルキフリ・アフマド保健相は遠隔医療や人工知能(AI)駆動型診断、大規模データ分析など、デジタル医療技術の重要性を強調した。「イノベーションが、患者ケアの向上、医療アクセスの改善、そして強靭(きょうじん)な医療エコシステムの構築に役立つ」と述べた。
同開会式では、マレーシアのベンチャーキャピタル(VC)で、ASEAN域内で成長段階にある企業への投資に注力している5 Pillars Venturesが、1億リンギ(約33億円、1リンギ=約33円)のベンチャーキャピタルファンド「Zafar VC」の立ち上げを発表した。ヘルステックやメドテック、バイオテクノロジー、デジタルヘルス、ライフサイエンスなどの分野で高い潜在力を持つスタートアップに投資し、マレーシアをアジアの医療ハブとして発展させることを目指す。同社共同経営者のキース・チョン氏によると、将来的には病院や保険会社、規制当局、ディストリビューターを含む医療エコシステムを構築する計画で、5年間で世界最大規模の医療ファンドとすることを目標として掲げている。
アフマド保健相による基調講演の様子(ジェトロ撮影)
(川本暖乃、ニザール・カイルッディン)
(マレーシア、ASEAN)
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