第1四半期のGDP成長率を上方修正、貿易額も前年同期比で増加
(シンガポール)
シンガポール発
2025年05月27日
シンガポール貿易産業省(MTI)は5月22日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率の改定値が前年同期比3.9%だったと発表した。4月16日に発表した速報値(同3.8%)から上方修正となった(MTIプレスリリース)。
MTIは発表の中で、米国と中国が90日間互いの関税を引き下げることに同意するなど、関税交渉に大きな進展が見られたことで、シンガポールの外需の見通しは若干改善したと評価した。一方で、米国関税をめぐる不確実性が米国への輸出依存度が高い製造業へ及ぼす影響などを考慮し、2025年通年のシンガポールのGDP成長率は、前年比0.0~2.0%とする従来の予測(2025年4月16日記事参照)を維持した。
第1四半期の貿易総額は4.9%増加
MTI管轄下のシンガポール企業庁(エンタープライズシンガポール)が同日発表した2025年第1四半期の貿易統計によると、貿易総額は前年同期比4.9%増加した(エンタープライズシンガポール5月22日付プレスリリース)。非石油部門の地場輸出額(NODX、注)は3.3%増と、2024年第4四半期(2.4%増)に続き増加した。2025年のNODXは「前年比1.0~3.0%増」という従来の予測を維持した。
また、5月16日に発表された2025年4月の貿易統計(速報値)によると、貿易総額は前年同月比で14.7%増、地場輸出は12.4%増だった(エンタープライズシンガポール5月16日付プレスリリース)。米国向けの地場輸出は1.2%増と、3月(6.2%増)から鈍化した。グローバル・トレード・アトラス(GTA)によると、米国向け輸出は調整食料品(HS2106項)がプラスに大きく寄与した一方、半導体製造機械(HS8486項)の輸出額減少がマイナスに寄与した。
(注)自国生産による財輸出で、再輸出を除く。
(中島諒士)
(シンガポール)
ビジネス短信 0fcd2aaa44da214c