「中国知的財産権侵害・模倣品摘発活動年度報告書(2024)」を発表
(中国)
上海発
2025年05月09日
中国の国家質量強国建設協調推進指導グループ弁公室は4月25日、「中国知的財産権侵害・模倣品摘発活動年度報告書(2024)」を発表した。全体総括では、外部からの圧力が高まり、内部の困難が増すという複雑かつ厳しい状況の中、中国政府は冷静に対処し、総合的な施策を講じることで、質の高い国家・知的財産権強国の建設を着実に進めたと評価した。
報告のポイントは次のとおり。
(1)インターネット上の権利侵害などの摘発活動
- 国家市場監督管理総局は2024年、インターネット市場監督管理促進発展特別行動を主導し、オンラインの主要分野・プロセスの包括的な監督と、ネット上の新たな問題・リスク解決に努めた。具体的には、オンライン取引プラットフォームに対し、違法商品情報28万7,000件を削除、1万7,000件のウェブサイト是正命令、2,619件のウェブサイト閉鎖申請を実施した。そのほか、3万6,000件のネット違法・法規違反案件を取り締まり、381件を公安機関に移送、各種ネット不正競争案件4,686件を摘発した。これらの活動により、デジタル経済の健全で持続的な発展を推進した。
(2)その他の摘発活動
- 市場監督管理部門は知的財産権関連案件67万5,000件近くを取り調べ、うち商標権侵害、専利(注)偽造案件が4万3,900件に達し、権利侵害・模倣品案件が多発している状況に対して、約8万8,000回にわたって法執行活動を展開し、各種不正競争案件1万4,188件を調査・処分した。
- 同局は、2024年粗悪模倣品の全国統一廃棄活動を実施した。アパレル製品や食品・医薬品、化粧品、たばこ、酒類、海賊版出版物など200種類以上の粗悪模倣品を22省(区、市)で一斉に廃棄した。廃棄物は3,300トン、3億3,000万元(約66億円、1元=約20円)相当に上った。
(3)貿易、輸送時の監督強化
- 税関総署は重点分野・高リスク分野の商品について、知的財産権保護特別活動を実施し、疑似権利侵害貨物4万1,600ロット、8,160万5,100件を差し止め、知的財産権税関保護登録を2万1,600件許可した。
- 国家郵政局は郵送企業に対して、「実名制による集荷」「荷物受送時の点検」「機器による安全検査」の3項目の徹底を命じ、模倣品の郵送ルートへの侵入防止を図っている。地方各レベルの郵便管理部門は延べ3万1,000人に対して行政執法検査を行い、1万1,155件を行政処罰とした。
(4)侵害・模倣品犯罪への刑事取り締まり強化、司法サービス体制の充実
- 公安機関は年間を通じて、知的財産権の侵害と製造・販売案件を3万7,000件立件し、重要案件を集中的に解決し、犯罪産業チェーンを徹底的に排除した。
- 2024年、全国の検察機関は模倣・粗悪商品による犯罪9,177件、1万5,197人を逮捕し、2万397件、4万2,221人を訴訟提起した。
(注)専利とは、日本の特許(発明)、実用新案、意匠に当たる。
(陳貝蓓)
(中国)
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