山東省、第1四半期のGRPは6%成長、対日経済交流の深化に意欲
(中国)
青島発
2025年05月27日
中国・山東省の王磊商務庁長は5月9日、日本の在青島総領事館およびジェトロ青島事務所との会見で、2025年第1四半期の経済状況について「安定を保ちながら好転しつつあり」「予想以上に好転した」との見解を示した。山東省の域内総生産(GRP)は前年同期比6.0%増と、全国平均(5.4%増)を上回る伸びを記録した。経済規模が10兆元(約200兆円、1元=約20円)に迫る中での成長は「得難い成果」と強調した。
商務関連の主要指標では、奨励政策の効果もあり、社会消費品小売総額が5.6%増(全国平均4.6%増)、輸出入総額も5.9%増(同1.3%増)と堅調に推移した。一方、米国の関税政策の影響で、3月単月の対米輸出は前年同月比横ばい、4月単月では同30%減少した。外資導入については、全国的に規模縮小が進む中、山東省は全国5位を維持したとしている。
日本との経済関係については、「山東省にとって日本は重要なパートナー」と述べたうえで、現在1,566社の日系企業が進出し、累計投資額は73億ドルに達している。2025年第1四半期の日本からの外資利用額(実行ベース)は前年同期比10.3%増の2億5,000万ドルで、対日輸出も前年並みを維持したとした。
今後の対日経済交流について、王庁長は次の4点を提案した。
- 産業・サプライチェーンの連携強化:山東省はインフラが整備され、全産業分野がそろう。広大な消費市場を背景に、外資ブランドの進出も進む中、日系企業のさらなる進出と高品質製品の現地生産に期待を示した。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の枠組みを活用した貿易促進にも意欲をみせた。
- グリーン・低炭素分野での協力:「グリーンエネルギー・低炭素ハイクオリティ発展先行区(2025年3月28日記事参照)」の設立を踏まえ、次世代情報技術、医療・健康、省エネ・環境保護、シルバー経済などで日本の経験を生かした協力を希望した。
- 第三国市場での協業:工事建設や産業団地開発などでの協力モデルの革新を通じ、日中両国の補完性を生かした多国間協力の強化を提案した。
- 交流・協力の深化:総領事館やジェトロとの連携を強化し、日系企業の課題解決や進出支援に積極的に取り組む姿勢を示した。
王庁長は最後に、「山東省の魅力をより多くの日本企業に知ってもらいたい」と述べ、今後のさらなる交流拡大に期待を寄せた。
(皆川幸夫)
(中国)
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