2025年第1四半期の米GDP成長率はマイナス0.3%、関税引き上げ前の駆け込みが大きく影響

(米国)

ニューヨーク発

2025年05月01日

米国商務省が4月30日に発表した2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前期比年率0.3%減と、2022年第1四半期以来3年ぶりのマイナス成長となった(添付資料表、図参照)。市場予想(0.2%増)も下回った。輸入や在庫、コンピュータ機器投資の大幅な増加など、関税引き上げを忌避した駆け込みが大きく影響したもようだ。

需要項目別に見ると、内需では個人消費支出(PCE)が1.8%増、寄与度1.2ポイントとプラスを維持したものの、前期(4.0%増、2.7ポイント)からは減速した。特に自動車を中心とした耐久消費財(3.4%減、マイナス0.3ポイント)や、外食サービス(2.1%減、マイナス0.1ポイント)などが押し下げに寄与した。

住宅投資(1.3%増、0.1ポイント)も、前期(5.5%増、0.2ポイント)から減速した。他方、設備投資(9.8%増、1.3ポイント)、在庫投資(2.3ポイント)は関税引き上げ前の駆け込みの影響が顕著に表れた結果、プラス寄与となった。特に設備投資では、コンピュータ関連の輸入の急増と軌を一にするかたちで、情報関連機器への投資(69.3%増、8.7ポイント)が大きく増加しており、関税引き上げに伴うコスト増を忌避した結果、設備投資を前倒しした可能性が高い。

政府消費(1.4%減、マイナス0.3ポイント)も、前期(3.1%増、0.5ポイント)から減速した。トランプ政権発足後に政府支出の凍結やウクライナへの軍事支援の停止などが実施されており、こうした措置が影響したもようだ。

GDPを最も押し下げたのが外需で、輸入(41.3%増、マイナス5.0ポイント)が大幅に拡大した結果、純輸出の寄与はマイナス4.8ポイントとなった。輸入はコンピュータ・同部品(3.3倍、10.7ポイント)、医薬品(6.5倍、19.2ポイント)など、1962年通商拡大法232条に基づく追加関税が検討されている項目の増加が顕著だ。

第1四半期は関税引き上げ前の駆け込みの影響が顕著に表れたかたちで、来期はこうした影響は一部剥落するとみられるが、米国経済の見通しは依然として不透明な情勢だ。GDPの7割を占める消費が堅調さを保てるかどうかは、雇用情勢や関税コストの価格転嫁状況によるところが大きく、今後数カ月これら指標の動向に注目だ。

(加藤翔一)

(米国)

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