韓国、エジプトへ防衛装備品輸出や工科大学設立の貢献アピール、国交正常化30周年
(エジプト、韓国、日本)
カイロ発
2025年05月01日
エジプトと韓国は4月13日、国交正常化30周年を迎えた。キム・ヨンヒョン駐エジプト大使は「デーリー・ニュース・エジプト」への寄稿で、韓国の政府開発援助実施機関の韓国国際協力団(KOICA)によるベニスエフ工科大学設立支援や、同大学が2019年6月に国から設立認可を受けたことなどを紹介した。中部のベニスエフ県には韓国のサムスン電子の工場が立地しており、テレビのほか、2022年11月には携帯端末の生産も開始した。同じ韓国企業では、LG電子もカイロ北東に位置するテンス・オブ・ラマダン市の工場に3億ドルを投資し、OLED(注1)テレビや洗濯機、冷蔵庫を生産している。
韓国からエジプトへの対内直接投資(FDI)は、サムスン電子やLG、現代ロテムのカイロ地下鉄向け車両設備など、累計8億ドル近くに達する。エジプト中央銀行(CBE)によると、直近の会計年度の2023/2024会計年度(注2)のFDI純流入額は対前会計年度比3.6倍増の1億870万ドルに上った。同期間の日本からエジプトに対するFDI純流入額は対前会計年度比2.4倍に増加したが、5,970万ドルにとどまっている。
韓国はエジプトに対する防衛装備品の輸出も強化している。ハンファ・ディフェンス製K9サンダー自走りゅう弾砲の輸出や、技術移転と現地生産を含めた契約を16億6,000万ドルで締結したほか、射撃指揮システムも輸出している。報道によると、KAI FA-50軽戦闘機の輸出についても、協議が進められている。
エジプト中央動員統計局(CAPMAS)によると、2024年のエジプトの対韓国輸入額は14億3,118万ドル、このうち5億943万ドル、35.6%を自動車・同部品(HSコード第87類)が占めた。次いでエチレン(HSコード第39類)が2億395万ドル(14.3%)、電気機器・オーディオビジュアル製品(HSコード第85類)が1億9,240万ドル(13.4%)だった。同年の日本からの輸入額は8億1,871万ドル、このうち2億2,020万ドル、26.9%を自動車・同部品が占めた。次いでボイラーおよび機械類(HSコード第84類)が1億8,485万ドル(22.6%)、医療用品(HSコード第30類)が9,637万ドル(11.8%)だった。
日本のエジプトに対する高等科学教育分野協力では、国際協力機構(JICA)の2フェーズ合計30億円弱の無償資金協力により、2010年にエジプト-日本科学技術大学(E-JUST)の工学系大学院が設立され、2017年に工学部が発足した。現在、大学院生300人強、学部生4,600人強が在籍している。「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」の2025年版大学ランキングでは、世界ランクが501~600位台、エジプト国内ではカイロ・アメリカン大学やカイロ大学を抑えて首位にある。
(注1)Organic Light Emitting Diodeの略称で、有機ELディスプレーのこと。
(注2)エジプトの会計年度は7月始まり。2023/2024会計年度は2023年7月~2024年6月。
(西澤成世)
(エジプト、韓国、日本)
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