原子力発電所の廃炉を正式に撤廃、さらなる原発活用への具体策は未発表
(ベルギー)
ブリュッセル発
2025年05月29日
ベルギー連邦議会は5月15日、原子力発電への復帰を認める法案を賛成多数で採択した(プレスリリース、フランス語)。同法案は、原子力発電の段階的廃止と、原子力発電所の新設認可を禁止する現行法を撤廃するものだ。連邦政府はエネルギーの自立や、競争力あるエネルギー価格、脱炭素化を加速させたい意向だ。
同国は2003年、再生可能エネルギー(再エネ)による安定的な発電が技術的に可能となるよう移行期間も含め、既存の原子炉の寿命を40年とし、稼働中の7基の原子炉を段階的に廃止し、2025年末に全ての運転を終了する法案を制定した。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始などを受け、特にロシアからの化石燃料依存からの脱却を加速する措置として、2基の稼働を10年間延長する決定を行った(2022年3月24日記事参照)。
2024年6月の総選挙後に発足した新政権は優先課題の中で、新エネルギーミックス(原子力と再エネの融合)実現や、既存の原子力発電能力の拡張、新規の原子力発電所建設に向けた投資を挙げている(2025年3月27日付地域・分析レポート参照)。
さらに、ベルギーは2025年2月に、欧州の「原子力連盟」のオブザーバー参加から正式メンバーとして加盟し、原子力活用に向けて動き出している。具体的な新設計画や運転期間の延長の詳細はまだ決定していない。
(大中登紀子)
(ベルギー)
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