三海域イニシアチブ発足10周年、首脳会合がポーランドで開催
(ポーランド、中・東欧、EU、米国、日本、ウクライナ)
ワルシャワ発
2025年05月01日
三海域イニシアチブ(3SI)第10回首脳会合が4月29日、ポーランドのワルシャワで開催された。3SIは、2015年に中・東欧・バルト地域の連結性強化と格差縮小を目的として発足したバルト海と黒海、アドリア海地域の13カ国の経済協力枠組みだ。3SIは、エネルギーや輸送、デジタル分野のインフラ整備の協力促進や、新規投資、経済成長、エネルギー安全保障の実現を目標としている。
ホスト国ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、10周年を迎える3SIが南北間の連結が重要なことを大衆に広めたと評価し、今回が同大統領在任中で最後の3SIになることを踏まえ、後任が3SIの連携強化に尽力していくことを期待すると述べた。
各国首脳によるパネルディスカッション(ジェトロ撮影)
石破茂首相は3SIに向けたメッセージで、ウクライナの平和実現のため、3SI加盟国や戦略的パートナーと緊密に連携していくと述べた。
会合後の共同声明では、ロシアによるウクライナ侵攻を引き続き非難し、ロシアへの圧力を強化する用意があると発表した。また、ウクライナとモルドバのEU加盟が早期に実現するよう、交渉陣営を早期に設けるほか、必要な手段と財源を配分するとした。
4月28~29日には3SIビジネスフォーラムが開催された。ビジネス界のリーダーや専門家、民間企業などから約1,000人が参加し、3SI地域の交通、エネルギー、宇宙産業などに関して、24の議論が実施された。フォーラムの中で、国際協力銀行(JBIC)の林信光総裁は新たにワルシャワ駐在員事務所を開設することを発表した。
JBICの林総裁がワルシャワへの新事務所設立を発表(ジェトロ撮影)
3SIの加盟13カ国は、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャとなっている。今回の会合では、欧州委員会、ドイツ、日本、米国に続く3SIの「戦略的パートナー」として、スペインとトルコが加わったことも発表された。次回2026年の3SI首脳会合とビジネスフォーラムはクロアチアで開催される予定だ。
(下畑真優)
(ポーランド、中・東欧、EU、米国、日本、ウクライナ)
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