米国の301条対中追加関税、5月末に適用除外期限切れ、約400億ドル相当に7.5~25%の追加関税適用の可能性

(米国、中国)

ニューヨーク発

2025年05月26日

米国の1974年通商法301条に基づく対中追加関税(301条関税)の適用除外制度の有効期限が2025年5月31日に迫る。期限を迎えれば、6月1日の通関以降、これまで301条関税が免除されていた品目に対しても、301条関税が課されることになる。

301条関税は、米国が2018年7月以降に中国原産品に対して段階的に賦課を開始した追加関税だ。2025年5月時点で、1万品目以上(注1)に対して、7.5~100%の追加関税が賦課されている。ただし、いずれも2025年5月31日を有効期限に、3種類の適用除外制度(注2)が設けられている(2024年9月17日記事参照)。

(1)機械類、医療機器など164品目に対する適用除外。対象品目のHTSコードは、2024年5月30日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書C参照。

(2)太陽電池製造装置14品目に対する適用除外。対象品目のHTSコードは、2024年9月18日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書B参照。

(3)機械類317品目のうち、事業者からの適用除外申請に基づき、USTRが認定した品目に対する適用除外(2024年10月16日記事参照)。対象品目のHTSコードは、2024年9月18日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの付属書E参照。ただし、ジェトロは現時点で、USTRの適用除外の対象認定に関する発表は確認できていない。

よって、適用除外の有効期限を迎えれば、(1)および(2)の品目に対して301条関税が課されることとなる。なお、(1)および(2)の品目に対する301条関税の関税率は7.5~25%に設定されている。

米国国際貿易委員会(USITC)の貿易統計によれば、(1)および(2)の品目の米国の対中輸入額は約401億ドル(2024年、通関ベース)。品目別には、プリント基板(HTSコード8473.30.11)42億ドル、プラスチック製品(3926.90.99)31億ドル、繊維製品(6307.90.98)21億ドルなどの輸入額が大きかった(注3)。

(注1)対象品目は、米国国際貿易委員会(USITC)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから、「China Tariff」のPDFファイルを参照。対象品目数は米国関税分類番号(HTSコード)8桁ベース。

(注2)適用除外制度の(1)および(2)の対象品目はHTSコード10桁で示される。適用除外申請可能な品目はHTSコード8桁で示される。

(注3)適用除外制度の(1)および(2)の適用除外対象品目のHTSコード8桁ベースの対中輸入額。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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