米国向け食品のトレーサビリティー義務が延期、タイ政府は事業者に準備要請

(タイ、米国)

バンコク発

2025年05月23日

タイ商務省外国貿易局は5月16日、米国食品・医薬品局(FDA)が「特定の食品のトレーサビリティーに関する追加的な要件に関する規則」の順守期限を30カ月延期したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。当初の順守期限は2026年1月20日だったが、FDAは2025年3月20日に同規則の順守期限の延長意向外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示していた。

食品トレーサビリティー規則(注)は米国食品安全強化法(FDMA)の一部で、2023年1月20日に施行された。同規則では、食品トレーサビリティー・リスト(FTL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載された食中毒が発生するリスクがある食品を製造・加工・包装・保管する国内外の事業者に対し、次の記録を保持し、FDAに対して迅速に報告することを求めている。

  • トレーサビリティー・ロットコード(LTC)
  • 食品トレーサビリティー計画
  • 食品流通の要所(CTE)の記録

この規則は、公衆衛生を守り、汚染の可能性がある食品を迅速に特定・回収することを目的として策定された。FTLに記載されている食品には、(セミ)ソフトチーズや殻付き卵、ナッツバター、葉物野菜、魚介類、甲殻類、二枚貝が含まれる。

また、事業者は食品のリスク評価のために、科学的情報(査読済み)や米国予防管理センター(CDC)のデータを収集する必要がある。リスク評価の項目には、食中毒の流行の頻度度や、食中毒の性質と重症度、食品の汚染の可能性や病原体の増殖性が含まれる。

タイ外国貿易局のアラダー・フアントーン局長によると、FTLに該当し、対米輸出をしている食品として、例えば、エビ(HSコード0306項、1605項)がある。同品目の2024年の輸出額は118億8,600万バーツ(約522億9,840万円、1バーツ=約4.4円)で、タイの対米食品輸出総額(473億6,200万バーツ)の25.1%を占める。アラダー局長は、今回の規則に抵触する可能性のある輸出者に対し、規則をよく理解し、完全施行に向けて準備を進めるよう呼びかけている。

(注)食品トレーサビリティー規則の詳細はFDAウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国)

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