ドイツ系医療機器シーメンスヘルシニアーズ、米ノースカロライナ州への投資を発表

(米国、ドイツ)

アトランタ発

2025年05月22日

ドイツ系医療機器製造のシーメンスヘルシニアーズ(米国本社:ペンシルベニア州)は5月14日、米国ノースカロライナ州シャーロットの医療イノベーション地区「ザ・パール」に1億4,100万ドルを投じて「シーメンス・ヘルシニアーズ・エクスペリエンス・センター」を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社にとって米国は世界最大の市場で、生産拡大や顧客サービス向上などを目的に1億5,000万ドルを新たに投じる予定で、ザ・パールへの投資もその一環だ。ザ・パールに建設する6万平方フィート(約5,570平方メートル)の新施設では、医療提供者のデジタル化とケア提供の変革を支援する予定だ。また、同社子会社の製造拠点をメキシコからカリフォルニア州に移転するほか、ニュージャージー州とカリフォルニア州に物流拠点を設ける。

ノースカロライナ州のジョシュ・スタイン知事(民主党)は、シーメンスをはじめ、同州の医療教育プログラムにより輩出される良質な労働力に魅力を感じる企業が多く、最先端の研究やイノベーションに取り組む企業が同州に多数立地すると述べた(注1)。

ザ・パールは、米大手医療グループのアドボケイトヘルスに属するアトリウムヘルスなどが15億ドルを投じて開発中の官民連携による医療イノベーション地区で、2023年に60万平方フィート(約5万6,000平方メートル)に及ぶ第1フェーズが着工した。2025年夏にウェイクフォレスト大学医学部が同地区にシャーロット初の4年制医学部を開校するほか、フランスの外科研修機関IRCADの北米本部(注2)も立地し、2025年9月から研修を開始する予定だ。研究と学術を基盤としたイノベーション・エコシステムを構築し、企業誘致、新たなアイデアの創出、ベンチャー資金の誘致などを目指している。

なお、今回の発表に先立ち、シーメンスヘルシニアーズは2023年7月、アトリウムヘルスおよびIRCAD北米本部との提携を発表し、医療画像技術の提供やカリキュラム開発の支援などを通じて、ザ・パールにおけるIRCAD北米本部立ち上げへの支援を表明している。

(注1)ノースカロライナ州の州都ローリー近郊のリサーチ・トライアングル・リージョンには、全米屈指のバイオクラスターが形成されており、ライフサイエンス関連企業を中心に集積が進んでいる(2024年3月28日付地域・分析レポート参照)。また、州内の他地域でもライフサイエンス分野の新しいエコシステムが形成されつつある(2025年4月25日付地域・分析レポート参照)。

(注2)IRCAD北米本部はアトリウムヘルスの完全子会社。

(横山華子)

(米国、ドイツ)

ビジネス短信 03e98905737485a2