東芝、UAEで重粒子線を用いたがん治療装置を受注

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2025年04月16日

東芝は4月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のクリーブランドクリニックアブダビから、重粒子治療装置を受注したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。重粒子線がん治療装置の導入は中東地域では初めてとなる。

重粒子線治療は、炭素イオンなどの重粒子を光の速さの70%まで加速して重粒子線とし、「がん病巣」に対して体の外から照射するものだ。UAE政府は経済成長を支える柱の1つとして、医療の高水準化を推進している。中でもがん治療、特に患者の治療時の負担が少ない同治療が注目されていた。2023年7月に岸田文雄首相(当時)がアブダビを訪問した際に開催された日・UAEビジネスフォーラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、アブダビを拠点とする中東最大のヘルスケア企業M42と、日本の量子科学技術研究開発機構(QST)が研究協力覚書を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

クリーブランドクリニックアブダビは、アブダビ政府の投資会社ムバダラ・デベロップメント・カンパニーと米国のクリーブランドクリニックが米国と同水準の先進技術を用いた医療提供を目的に、アブダビに設立した病院だ。2023年にM42グループの傘下に加わった。

東芝はこれまで、QSTとともに重粒子線治療装置を開発し、2016年にQST千葉地区新治療研究棟に、世界で初めて超伝導電磁石を採用することで小型化・軽量化に成功した同治療装置を納入した。その後、山形大学と韓国の延世大学校医療院にも導入実績がある。同社の国内外での実績や最先端の技術力が評価され、UAEでの受注に至った。

(長谷川洋)

(アラブ首長国連邦)

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