ソニー・ホンダモビリティのAI活用のEVモデル、高価格帯も人気

(米国)

ロサンゼルス発

2025年04月21日

ソニー・ホンダモビリティ(注1)は2025年1月の先端技術見本市「CES2025」で、人工知能(AI)を活用した電気自動車(EV)「AFEELA 1」の予約受け付け開始を発表した。ジェトロは4月4日、同社の米国子会社ソニー・ホンダモビリティ・オブ・アメリカの大島武志副社長と吉田來生(くれお)シニアマネージャーに、これまでの状況や今後の展望について話を聞いた。

写真 ロサンゼルス市内のAFEELAスタジオ(ジェトロ撮影)

ロサンゼルス市内のAFEELAスタジオ(ジェトロ撮影)

写真 展示している車両(ジェトロ撮影)

展示している車両(ジェトロ撮影)

写真 車内の様子(ジェトロ撮影)

車内の様子(ジェトロ撮影)

2021年からソニーグループとホンダが協議を始め、日本企業としては非常にスピーディーに合弁会社を設立しているが、前者にとっては後者の車両製造技術が魅力、後者にとっては前者が有するソフトウエアやエンタメ分野の強みが魅力だったという背景がある。

米国が魅力的な市場で、カリフォルニア州で販売をスタートする。これは住民の環境意識が高く、環境政策も先進的なため、同州での成功が他地域への展開にも資するという。

「多様な知で革新を追求し、人を動かす」ことを目的とし、これまで制限が多かった移動空間をエンターテインメント空間に変え、感動体験を届けたいと話す。車内で映画や音楽、ゲームが楽しめるだけでなく、最大800 TOPS(注2)という次世代のコンピューティング性能により、高度な運転支援技術などを搭載している。例えば、ゲーム業界と提携して、ナビのスクリーンにゲーミング要素を取り入れるような取り組みを始めている。これは一例であり、オープンイノベーションでさまざまなかたちで他社と連携を進めていきたいという。新しいモビリティーを提案したいとの背景から、これまで「CES」などに出展している。

現在、着実に評価されて予約が出てきており、2つのモデルのうちより高い価格帯の「AFEELA 1 Signature(シグネチャー)」モデルが人気となっている。予約者はテスラに代表される既存EVのオーナーに加え、EV購入を待っていて、かつ、これまで日本車のガソリン車やハイブリッド車に乗っていた利用者が多いと分析している。今後は2026年中旬の納車に向けて、ロサンゼルス近郊やサンフランシスコ近郊に納車拠点を設ける予定だ。

(注1)ソニーグループと本田技研工業は2022年3月4日、モビリティー分野の戦略的提携に向けて基本合意。同年6月16日に「ソニー・ホンダモビリティ」の設立に関する合弁契約を締結した。

(注2)テラ・オペレーション・パー・セカンド。1秒当たりの演算処理回数(兆回)の単位。

(堀永卓弘)

(米国)

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