アフリカの2024年GDP成長率は3.4%、貿易は拡大も先行き不透明
(アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2025年04月17日
アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)が3月30日に公表した貿易と経済に関する報告書「African Trade and Economic Outlook (ATEO) 2025」によると、アフリカの2024年のGDP成長率は3.4%だった。2025年は4.0%、2026年は4.1%、2027年には4.2%の成長が見込まれ、世界平均を上回るとの見込みだ。
アフリカでは課題も引き続き多数
同報告書によると、アフリカの2024年のインフレ率は19.3%と高止まりしており、公的債務はGDPの67.2%に達した。
アフリカでは2008~2009年の金融危機以降のインフラ資金調達ニーズと、新型コロナウイルス関連の財政支出によって、各国の債務は悪化した。また、過去20年間、アフリカは世界で最も急成長した地域の1つだったが、産業は一次産品輸出に依存しており、成長は不安定だ。さらに、人的資本が未発達で、貧困や所得格差といった課題に直面しているという。その他、紛争や各種疾病のパンデミック、気候変動の影響など深刻な経済課題に直面している。
同報告書によると、アフリカの貿易は2023年に6%減少した後、2024年には5.8%増と緩やかな回復の兆しを見せた。また、アフリカ域内貿易に限ると8%の増加となった。なお、2024年の世界の貿易額は前年比5.3%増の約50兆ドルに達したという。世界的な不確実性にもかかわらず、アフリカは輸出需要の増加と経済改革に牽引され、経済成長を加速させる可能性もあるとの予測だ。
報告書の3月時点の予測では、アフリカ貿易は大幅に拡大し、2025年に5.3%、2026年に5.4%、2027年には5.6%の成長となり、金額では2025年に1兆5,000億ドルに達し、アフリカ域内貿易は6.6%の成長が見込まれていた。
一方で、4月に発表された米国の相互関税について、アフリカのうち8カ国が30%以上、12カ国が10~30%未満の関税が課されるとの内容も含まれており(2025年4月15日記事参照)、アフリカからの自動車や衣料、農産物など輸出に影響するとの予測もあるため、先行きは不透明だ。
なお、2023年のアフリカ全体の米国向け輸出シェアは4.9%、アフリカ全体の輸入で米国のシェアは5.0%、2022年末の対アフリカ直接投資残高で米国は3位(460億ドル)だった(ジェトロの調査レポート「アフリカ・ビジネスデータ集(2025年4月)」参照)。
(井澤壌士)
(アフリカ)
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