貿易赤字が続くも、送金と外国資本流入が増加
(ウズベキスタン)
タシケント発
2025年04月17日
ウズベキスタン中央銀行は4月1日、2024年の同国の国際収支に関する報告書を発表した。経常収支は57億ドルの赤字で、2023年の78億ドルから改善した(添付資料表参照)。貿易収支は大幅な赤字が続いた。海外送金受け取りを中心とする第二次所得の増加と投資の流入が国際収支全体の改善に寄与した。
2024年の傾向の1つは、貿易取引の成長の鈍化だ。報告書によると、2024年のウズベキスタンの輸出と輸入を合わせた貿易総額(サービスを含む)の伸び率は2023年の前年比19.6%から3.1%へと鈍化した。うち、輸入の伸び率は2023年の19.6%から2024年には2.3%に、輸出は2023年の19.5%から2024年には4.5%に減少した。
2024年の貿易・サービス収支は175億ドルの赤字を記録し、2023年の176億ドルと並ぶ過去最大水準の赤字となった。他方、第一次所得収支と第二次所得収支の黒字が続き、特に二次所得収支は20.1%増加した。これは、ウズベキスタン国民の労働移民の賃金上昇などによって、国外からの送金受取額が増加したことが貢献したとみられる。地元メディア「スポット」(1月20日)によると、2024年には国外からウズベキスタンに148億ドルの送金があった。
直接投資と証券投資は流入超が続いた。直接投資の純流入額は前年同期比30.5%増の28億ドル、証券投資は史上最高の31億ドル(同3.1倍)の流入超を記録した。政府・国有企業によるユーロ債の発行が証券投資額を押し上げた。2024年のユーロ債発行額は約40億ドルに上る。そのうち、国有冶金(やきん)企業で金採掘を手掛けるナボイ冶金コンビナートが10億ドル、複数の大手銀行が16億ドル相当のユーロ債をそれぞれ発行した(「スポット」2月3日)。
世界銀行エコノミストとして中央アジア経済を調査するヘンリー・アビオモ氏はジェトロのインタビュー(4月10日)に対し、国際収支における送金の過度な依存を改めるため、政府は輸出による経済成長を達成する必要があると述べた。
中央銀行は、2025年に輸出が前年比10~12%増加、国外送金が10~15%増加することで消費支出が押し上げられ、経済成長率が5.5~6%になると予測している。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン)
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