日本企業のASEAN投資が好調、収益も世界シェア2割に接近

(タイ、ASEAN)

バンコク発

2025年04月23日

日本銀行は4月8日、2024年の日本の対外直接投資統計を公表した。対ASEAN直接投資額(ネット、フロー)は4兆2,487億円で、前年比49.4%増と大きな伸びを示した(添付資料表1参照)。日本の対外直接投資全体の構成比で、ASEANは13.7%を占める。

ASEANを国別にみると、シンガポールは前年比3.2倍の2兆4,674億円と、対ASEAN投資の半分超(58.1%)を占めた。次いで、タイが26.9%増の6,320億円、インドネシアが13.7%減の3,616億円、ベトナムが53.1%減の2,773億円だった。

業種別では、非製造業が対ASEAN投資全体の77.2%を占めた(添付資料表2参照)。金融・保険業が1兆4,602億円と最大、次いで、卸売・小売業が5,256億円で、いずれもシンガポール向けの投資が多かった。製造業(9,669億円)はタイ向けが3分の1を占め、電気機器(2,976億円)と輸送機器(2,915億円)が全体を牽引した。

米国に次ぐ投資収益生むASEAN、製造業では輸送機器が牽引役

ASEANにおける直接投資収益は、前年比12.3%増の5兆972億円に達した(添付資料表3参照)。世界全体の投資収益の16.7%を占め、地域別では米国(26.0%)に次ぎ、EU(14.7%)や中国(8.8%)を上回る。

国別では、シンガポール(1兆9,753億円)とタイ(1兆6,658億円)の2カ国が全体を牽引した。続いて、インドネシアが6,431億円、マレーシアが3,038億円、ベトナムが2,621億円という順だった。

業種別でみると、ASEANで非製造業(2兆7,175億円)が製造業(2兆3,979億円)を上回った(添付資料表4参照)。製造業では、輸送機器(9,865億円)の構成比が大きく、タイ(4,476億円)とインドネシア(2,748億円)が寄与した。非製造業では、卸売・小売業が1兆59億円、金融・保険業が9,580億円の収益を計上し、いずれもシンガポールとタイの構成比が大きい。

(藪恭兵)

(タイ、ASEAN)

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